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ロシアのウクライナへの軍事侵攻から約4週間、心を痛めている人も多いだろう。そんななか、ウクライナへの寄付が増えている。在日ウクライナ大使館は、約15万人から40億円近くの寄付が寄せられたと発表した(’22年3月7日)。

 

ただ、どこに寄付するかが悩ましいとの声がある。寄付先によっては、寄付金が武器の調達などに使われる可能性が否定できないからだ。そこで、寄付先の選び方などを経済ジャーナリストの荻原博子さんが解説してくれた――。

 

■寄付の詐欺サイトにくれぐれもご注意を

 

まずは在日ウクライナ大使館。「寄付金は避難者の生活支援、インフラ復旧、住宅再建などにあてる」といいますが、戦況がもっと激化した場合などをそれぞれ考えて。情報は大使館の公式ツイッターで確認でき、振込口座も記載されています。

 

確実に、武力行使に関わらない寄付がしたいという方は、活動内容が明確な団体に寄付するとよいでしょう。たとえば、ウクライナの子どもたちへの支援を行う「日本ユニセフ協会」や、ウクライナから避難した難民の方々の支援を行う「国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)」などです。

 

どちらも寄付用の特設サイトがあり、銀行振込みのほか、クレジットカードやコンビニ払いも利用できます。日本ユニセフは、ゆうちょ銀行の窓口からの振り込みを、手数料無料で受け付けています。

 

こうした公益財団法人や認定NPO法人への寄付は「寄付金控除」が受けられます。節税につながるので、忘れずに確定申告をしましょう。そのほか、「日本赤十字社」や世界最大規模の国際NGO「ADRA Japan」なども寄付金控除の対象です。

 

また、大阪府泉佐野市はふるさと納税の仕組みを活用した寄付を呼びかけています。寄付金は全額ウクライナ大使館に送られ、返礼品はありませんが、自己負担金2,000円超が税金から控除される点は通常のふるさと納税と同じ。懐をあまり痛めずに寄付ができます。

 

さらに、ポイントによる寄付も。たとえばTポイントは「Yahoo!ネット募金」サイトにずらっと並ぶ寄付先から支援する団体を選び、1ポイントから寄付ができます。また、楽天ポイントは「楽天スクラッチ募金」サイトで、dポイントやクレディセゾンの永久不滅ポイントなども寄付できます。

 

ただ寄付先は一概に「NPO法人ならOK」とはいえません。NPO法人はさまざまで実体の伴わない団体もあります。活動実績などから信頼できる団体を見極めて。

 

最近はSNSなどで寄付を呼びかける詐欺も出てきました。戦地からのSOS動画を流す手の込んだ詐欺サイトもあるのでご注意を。

 

楽天グループの三木谷浩史会長兼社長が10億円を寄付したと話題ですが、寄付は“お金持ちがするもの”ではありません。自分に無理のない小さな支援に心を込めて。1日も早くウクライナに平穏な生活が戻るよう祈りましょう。

 

【PROFILE】

荻原博子

身近な視点からお金について解説してくれる経済ジャーナリスト。著書に『「コツコツ投資」が貯金を食いつぶす』(大和書房)、『50代で決める!最強の「お金」戦略』(NHK出版)などがある

経済ジャーナリスト

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