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この秋、社会保障審議会(厚生労働大臣の諮問機関)の介護保険部会では、’24年度の介護保険制度改正に向けた議論が本格化している。部会に出席している委員の1人がこう語る。

 

「ケアプラン作成の有料化や、要介護1・2の人の訪問介護・通所介護を介護保険から切り離し、市区町村が行う総合事業に移行することなどについて話し合われています。なかでも、最大のヤマ場は10月下旬に行われる、介護保険サービス利用者の自己負担をどこまで広げるかという議論。

 

財務省は、これまでも自己負担の“原則2割”を提言してきました。前回(’19年)の見直しの際には生活への深刻な影響があると見送られましたが、今後“史上最大の大改悪”と言われる原則2割負担に突き進むのでは、と介護現場からは不安の声があがっています」

 

’00年にスタートした介護保険制度では、介護サービスを利用できるひと月当たりの「支給限度額」が、要介護度別に決められておりこの範囲内であれば、自己負担割合は所得に応じて1~3割と決定される。

 

たとえば、現在、利用者の約9割が対象の「1割負担」は、年金やその他の収入の合計額が単身世帯で280万円未満、2人以上いる世帯では346万円未満であることが条件。要介護1の場合、支給限度額は約16万7650円なので「1割負担」の人はこの分の介護サービスを、1万6765円の支払いで受けることができるのだ。

 

社会福祉学が専門の淑徳大学の結城康博教授が解説する。

 

「厚生労働省は年末までに結論をまとめ、来年の通常国会への改正法提出を目指していますが、原則2割は影響が大きいこともあり、90%以上いる『1割負担』を減らして、2割負担の対象を拡大する方針で進めていくでしょう。

 

今年10月からは、75歳以上の人の医療費の窓口負担が、単身者で年収200万円以上、2人以上世帯で合計年収320万円以上の人の場合、1割から2割に引き上げられました。年収のラインは未定ですが、介護保険でもこの仕組みを踏襲される可能性があります」

 

「令和元年版高齢社会白書」によると、年収200万円以上の65歳以上世帯は約1630万世帯と推計される。ここには2人以上世帯も含まれるため、実際の対象世帯はもう少し少なくなるとみられるが、それでも大きなインパクトとなることは間違いない。

 

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