15年9月、台風18号による大雨で鬼怒川が氾濫した(写真:共同通信) 画像を見る

「エルニーニョ現象が発生した年は、台風の発生位置が南東にずれます。これは、日本の夏に暑さをもたらす太平洋高気圧の張り出しが弱くなるため。すると、台風が通常の沖縄方面から北上するのとは異なる進路を取り、本州寄りの位置から真っすぐ北上してくることが多くなり、日本列島を直撃する可能性が高くなるのです」

 

こう警鐘を鳴らすのは、ウェザーマップの気象予報士・原田雅成さんだ。気象庁は6月9日、世界的に異常気象をもたらす要因となるエルニーニョ現象が4年ぶりに発生したと発表。エルニーニョ現象とは、太平洋赤道域の日付変更線付近から南米のペルー沖にかけての海面水温が平年より0.5度以上高くなり、その状態が1年程度続くことを指す。

 

気象庁のデータによると、1951年の観測開始以降に発生したのは18回。ただし、今回のエルニーニョ現象では、海面水温が例年より3度以上高くなる「スーパーエルニーニョ」に発達する危険性があると指摘されている。

 

「過去に、海面水温が平年よりも3度以上高かったケースは3回観測されています(’82年春~’83年秋、’97年春~’98年夏、’14年春~’16年春)。これらの期間にはいずれも台風が本州に上陸し、大雨による被害が出ています。なかでも、’15年9月に台風18号が上陸したときは、関東・東北地方に記録的な大雨をもたらしました」(原田さん、以下同)

 

当時、茨城県常総市では一級河川の鬼怒川が氾濫。土砂災害や浸水といった甚大な被害が各地で起きたことは記憶に新しいところだろう。

 

台風のエネルギーは水蒸気だ。海面水温が上昇するほど、海から蒸発する水蒸気の量は増えることになる。

 

「エルニーニョ現象の年の台風は、発生した後、日本列島に接近するまで、ゆっくりと時間をかけて北上してきます。海面水温が高い海域を通りながら勢力を拡大した台風が上陸すると、大きな水害が発生することが懸念されます」

 

この夏、スーパーエルニーニョによる超巨大な豪雨台風が日本列島を襲う危険性が大いにある。では、いつごろ直撃するのか。

 

「注意したいのは8月。太平洋高気圧の張り出しが弱いため、勢力の強い台風が関東、東海地方付近に上陸することが考えられます」

 

この夏迫りくる水害のリスク。いまのうちから十分に備えておいたほうがよさそうだ――。

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