「国民の信頼回復のために“火の玉”となって自民党の先頭に立ち、取り組んでまいります。国民のみなさまのご理解をお願い申し上げます」
12月13日の会見で、国民にそう呼びかけた岸田文雄首相(66)。だが、14日に時事通信が発表した世論調査によると、なんと内閣支持率は17.1%、不支持率は58.2%だった。これには岸田首相も年貢の納め時かと思いきや、本人は続投する意欲満々だという。
「『俺は悪くない。悪いのは安倍派だ』と岸田首相は思っているはずで、辞任する気はさらさらありません。そもそも岸田首相は、一日でも長く首相の座に居座ることへの執着が強いとみられています」
そう明かすのは、政治評論家の有馬晴海さんだ。
政界に激震を走らせた自民党「安倍派(清和政策研究会)」を中心とした裏金問題。裏金を受け取った疑いのある“安倍派5人衆(松野博一前官房長官、西村康稔前経済産業大臣、萩生田光一前党政調会長、髙木毅前党国会対策委員長、世耕弘成前党参院幹事長)”を事実上の更迭に。
しかし、二階派でも同様の裏金問題が発覚。また「岸田派(宏池政策研究会)」でも、3年間で2千万円超のパーティー券収入の不記載が報じられるなど、政治と金の問題はまだ広がりそうな気配だ。
まさに“火だるま”状態の岸田政権はいつまで続くのか――。
「年末年始によほど多くの逮捕者が出るなどすれば別ですが、本人が辞める気にならなければ無理に引きずり下ろすことはできません。では、本人がいつ決意するのかというと、早ければ2024年4月。
先日亡くなった自民党の細田博之前衆議院議長の補欠選挙に加え、今回の件で安倍派から失職者が出た場合、その補欠選挙も併せて行われます。ここで自民党が大敗すれば、引責辞任せざるをえないでしょう」(有馬さん)
もし、この補欠選挙を乗り切った場合、「来年秋の自民党総裁選挙まで岸田政権が続く」と有馬さんはみている。政治ジャーナリストの鮫島浩さんは、岸田首相が政権にしがみつく動機をこう説明する。
「岸田さんは、少なくとも来年2月までは首相の座に居座るつもりです。というのも、自身の派閥である宏池会では、これまで5人の総理を輩出していますが、来年2月まで続けられたら在任期間が歴代2位になるんです。だから『それまでは絶対に辞めたくない』と側近にも漏らしているようです」
これに加え、「外遊大好きの岸田さんには、もうひとつ辞められない理由がある」と続ける。
「11月に訪米した際、バイデン大統領から国賓待遇での招待を受けており、来春にも訪米する予定です。3月に予算を成立させたあと、この訪米をなんとしても果たしたいと考えているのです」
そうなると、辞任時期はやはり2024年4月以降になるという。さらに、政治アナリストの伊藤惇夫さんもこう予想する。
「今回新たに就任した閣僚たちが実はスキャンダルを抱えていたり、岸田首相周辺から問題が浮上したりすれば、年明けの早い段階での辞任はあるかもしれません。そうでなければ、3月の予算成立後か、最長で来秋の自民党総裁選までの可能性があります」
専門家3人の見解は、岸田政権がもうしばらくは続くことで一致した。