「今年8月から追加で実施されてきた電気料金やガス料金の政府の補助は10月使用分で終了し、11月使用分からは、平均的な家庭で500~600円ほど値上がりします。 今年の冬は太平洋の一部の地域の海面水温が高くなるラニーニャ現象が発生し、例年以上の厳しい寒さが予想されています。節電&省エネの意識をワンランク高めていく必要があるでしょう」
そう語るのはファイナンシャルプランナーで消費生活アドバイザーの丸山晴美さん。
11月に使用し、12月に請求される電気料金は、電力大手10社すべてが値上げを決めている。ガス大手4社が行う値上げ分を加えると、光熱費が月々800円程度増えていくなか、厳しい冬を乗り切らなければならないようだーー。
「夏と比べて、冬は冷たくなった空気や水温を温める必要があるため、電気やガスのエネルギー消費量が多くなります。また夜が長くなり暖房や照明をつけている時間も増えるため光熱費が高くなる傾向に。買い替えを検討している場合は、省エネ性能の高いものにするのがいいでしょう。 しかし、節電の目的で買ったものが、今冬の光熱費の値上げ分を大きく超えてしまってはあまり意味がありません。私が実践しているのは100均グッズを利用して、ゲーム感覚で行う節電対策です」
丸山さんの冬の電気代は、なんと平均的な家庭の約6割、毎月5,000円ほどに抑えられているという。
それにしても100均グッズで対処できるのだろうか?
「100円ショップにはすでに暖房費節約グッズがそろっています。私は、100円ショップは節電のための素材屋さんという発想で、グッズを組み合わせたり、違う用途で使ったりするなどゲーム感覚で利用しています。
節電や省エネは根をつめてやっても長続きしません。節約は習慣化することが大事。楽しく行うことがポイントです」
■効率アップのコツは“部屋を冷やさないこと”
今回は、そんな丸山さんから100均グッズの節約テクを教えてもらった。すぐに実践できるものを中心にまとめているので、ぜひ参考にしてほしい。
「エアコンを含む暖房の電力使用量は、家庭全体の電力使用量の約3割を占めています。まずはエアコンなどの暖房器具の使い方を工夫することが、節電への近道です。 暖房費の節約ポイントは“効率よく暖めて保温する”こと。そのためには、暖かい空気が室内から逃げないようにしたり、冷気の侵入を阻止したりすることがカギを握っています」
冬場は、室内の熱の58%が窓から逃げ出していく。100円ショップでも、窓に貼って断熱性を高めるシートや緩衝材にも使われるバブルシートが売られている。
「窓辺の冷気は、窓をつたって下降。カーテンと床のちょっとした隙間からも冷気が流れ込んできます。ここは断熱ボードでシャットアウトすること。さらに冷たい床に熱が奪われないよう、ホットカーペットやコタツの下に断熱シートを敷くと、少ないエネルギーでも暖かく感じます」
こうした“部屋を冷やさない”工夫により、暖房の設定温度を21度から20度へ下げると、エアコンでひと冬1,710円、ガスファンヒーターで同1,590円もおトクに。さらに、電気カーペットの設定温度を「中」から「低」に切り替えるだけで約6,000円、こたつを「低」にしておくだけで1,580円の節約に。床の冷気をカットするシートの効果は絶大だ。
ほかにも、廊下からの隙間風にも気を配る必要があるという。
「100円ショップにも隙間風防止グッズがそろっていますが、クッションや緩衝材などでも十分に代用可能。隙間風が入り込む場所を見つけ出し、それに合ったオリジナルの隙間風防止グッズを作ってみてもいいですよ」
■隙間風防止にはタピオカストローがつかえる!
そこで本誌記者も、廊下から入り込むドア下の隙間風を防ぐために、口径が太いタピオカ用ストロー(30本入り100円)をテープでつなぎ合わせてカバー。廊下からの冷気を防ぐことに成功した。
「暖房費を抑えるもう一つのコツは、暖める範囲を狭くすることです。石油やガスのファンヒーター使用時は定期的な換気が必要ですが、基本的には部屋のふすまやドアは閉めておきましょう。
リビングに接した隣室や廊下の間にドアがなければ、100円ショップのシャワーカーテンと伸縮式の突っ張り棒などを組み合わせて、即席の仕切りを作ってもいいでしょう」
暖房だけではなく、体感温度をアップすることも当然大切だ。
「家事の邪魔になったり、不快になったりしない程度に、首や足首などを覆うような暖かい服装を心がけましょう。100円で買える防寒グッズは、安価でも重宝するはずです。 湿度計も必須アイテム。40~60%を目安に湿度をキープしておくと体感温度も高くなり、必要以上に暖房をつけなくても済むようになりますよ」
ちなみに暖房器具の稼働時間を1日1時間減らすと、エアコンではひと冬1,310円、ガスファンヒーターで2,470円、石油ファンヒーターで1,960円も節約できる。
「冬場に入る機会が増えるお風呂も、節約ポイントがあります。家族同士、なるべく時間を空けずに入ることが大事。2時間放置して、湯温が4.5度低下した湯船のお湯(200ml)を毎日追い焚きした場合、年6,190円もムダになってしまいます。
ふたに加えて、レジャー用のアルミシートをお風呂で使えば、お湯の熱を逃さず風呂温度をキープ。ひと冬2千円を浮かすことができます」
冬の電気&ガス代の節約ワザをすべて実践できれば、なんとひと冬で14,713円もおトクに。100均グッズの合計代金は約2,000円なので、光熱費の値上げの冬を過ごしても、しっかりおつりがくる金額だ。賢くかつ楽しみながら節約生活を実践して、冬の寒さ&値上げを乗り切ろう!