高知早苗首相(65)陣営が、昨年の自民党総裁選と今年2月の衆院選で、他候補者の”誹謗中傷動画”を作成・拡散させていたのではないかとの疑惑が波紋を呼んでいる。
一連の疑惑をスクープしたのは「週刊文春」。同誌は4月から、高市陣営が流した”ネガキャン動画”の存在を相次いで報じた。
「文春の記事によると、高市氏の最側近である公設第一秘書・木下剛志氏が中心となり、陣営の関与を隠して他候補を中傷する動画をSNSで拡散させていた疑惑が報じられました。昨年の総裁選では、ライバル候補だった小泉進次郎氏(45)を『無能で炎上!』、林芳正氏(65)には『林芳正アウトー!』などと煽り立てる動画を匿名のアカウントから複数回投稿・拡散していたとされています。
衆院選では立憲民主党出身の複数の議員の誹謗中傷動画も拡散していたといい、動画作成者の一人である会社役員の松井健氏の実名証言や、木下氏から松井氏に送られたとされる”証拠のメッセージ”の存在が報じられています。ただし、この松井氏と高市首相との直接的な関係は今のところ明らかにはなっていません」(全国紙政治部記者)
こうした、実名証言や証拠メッセージのスクープに端を発したこの問題は、国会でも野党から厳しい追及を受ける事態に。
5月11日の参院決算委員会で高市首相は、秘書に電話で確認して「他の候補に関するネガティブな動画を作成して発信するといったことは一切行っていないと報告を受けている」と述べ、「週刊誌の記事を信じるか、秘書を信じるかというと、私は秘書を信じます」と、秘書を擁護。松井氏についても「私自身もそして地元の秘書も面識ない」と、報道を否定した。
しかし、松井氏は18日、YouTubeチャンネル「Noborder News」に生出演。番組内で、動画の作成や拡散を認めた一方で、秘書とは直接会わずにオンラインで会議をしたと説明。「高市総理自体が認識していたかは分からないが、秘書とやりとりをして、実施した」と、顔を出して実名で告白した。
そうしたなか首相は19日、松井氏の証言について、記者団の取材に対し「私自身も秘書もお会いしたことのない方だ」と、改めてきっぱりと否定した。
ところが、ある記者が「『お会いしたことがない』というのは、オンラインはやり取りはあったのでしょうか」と聞き直すと、高市氏は突然「……それはちょっと、私に聞かれてもわかりませんけど」と、トーンダウン。そのうえで、自身の事務所による動画の作成と発信は「一切ない」と強調した。
秘書に関して「わからない」が「信じたい」と主張した高市氏だが、実は自身の公式サイトに約1000本掲載されていたが、今年2月にすべて削除したブログでは、過去に”秘書の不祥事”に対して熱い思いをつづっていた。それは’02年1月30日に投稿した「秘書の斡旋利得問題に思う」と題されたブログで、当時自民党や民主党議員の事務所スタッフが、口利きによって資金集めをしていた疑惑を受けて当時の高市氏の思いの丈が書かれたものだ。高市氏は次のようにつづっている。
《高市事務所のルールは、「全ての陳情は依頼を受けた段階で書類で代議士に報告をし、代議士の了解と指示がない限り、秘書は勝手に処理をしてはならない」「どんなに親しい支援者からでも、金品の提供を受けてはならない。秘書が金品を受け取った事が発覚した時点で解雇する」》と、不祥事に繋がりかねない問題を秘書だけで判断することを明確に禁止。
また、多忙な時期に《全秘書の活動に細かい目配りをする》ことが苦痛なほど大変だとしても、《雇用者である以上は管理責任もあり、何か問題が起きた時に「秘書が勝手にやったこと。私は知りませんでした」とだけは言いたくないので、なんとか頑張ってマス》と、管理責任者として秘書の行動の”責任は引き受ける”という矜持を明記していた。
「高市氏のオンラインに関してのやり取りは、いわゆる”ご飯論法”ですが、かつてブログで誇っていたような”代議士の指示なしに秘書は勝手に動かない”という掟が今も生きているならば、木下氏が松井氏とオンラインで緊密に連絡を取り合っていたとされる疑惑を、高市首相が『私はわからない』で済ませることは論理的に矛盾します。
もし本当にオンラインのやり取りを首相が把握していないのであれば、それは高市事務所のガバナンスが効いていないことを意味し、逆にすべてを把握した上で『わからない』との答弁であれば、国会や国民に対して極めて不誠実な説明を行っていることになります。当時高市氏が取り上げた問題と、今回の誹謗中傷動画は内容が異なるものの、秘書に関する疑惑ということであれば、高市氏がブログで訴えていたように“管理者責任”が問われて然るべきでしょう」(前出・全国紙政治部記者)
20日には再び「週刊文春」が、木下氏が松井氏に送ったという匿名アプリを含む、LINEやショートメールなど「67通のメッセージ」という具体的な証拠を入手しているという記事を公開。67通のメッセージの中では「ミーティング」「打ち合わせ」などとして、少なくとも計8回、オンラインで会議が開かれていたという。
今後も、高市氏の管理者責任と説明責任が問われることになりそうだ。
