誕生日ケーキを前に座る幼児が、大人の女性から顔にケーキを押し付けられて泣きじゃくる投稿動画がSNSで拡散。投稿者が住むとされる福岡県の警察署などに、動画を見た人から虐待を疑う通報が相次いだ。
県の児童相談所は幼児を一時保護。県警は幼児の保護者を子供への暴行容疑で調べる方針と6月8日付「西日本新聞me」が報じている。
「インスタグラムなどのSNSには育児の様子を発信する方も多く、便利グッズの紹介や、ほのぼのとした平和的な投稿がほとんどです。そんななか通報が相次いだ今回の映像は、お子さんが非常にかわいそうで、私も見ていられませんでした」
こう話すのは、ITジャーナリストの鈴木朋子さん。同一アカウントの過去動画では、幼児にビールが入ったジョッキを近づけたり、お風呂に顔を沈めたりするものもあったと、11日付の「産経新聞」が報じている。
今回の映像は、一歩間違えば事件や事故に発展しかねない言語両断のものだ。
■子供の写真には「デジタル誘拐」の可能性が
このような投稿をしている人は稀だが、何気なく子供の写真など、自身のプライバシーが含まれる情報をSNS上にアップしている人も多いだろう。だが、一見、問題なさそうな画像、映像などにも、危険性が潜むという。
「まず、子供さんの顔をアップする際には注意が必要です。なにかで子どもが泣いている映像は、親世代が見れば『かわいい』と思われることが多いのですが、そのお子さんが大人になったときに見返したらどうでしょうか? かなり恥ずかしかったり、不快な思いをすることがあるかもしれません」(鈴木さん、以下同)
子どもが大人になったときに、消したいと思っても、すでに拡散してしまっていれば「デジタル・タトゥー」になりかねないという。
「子供の画像を、どこかの誰か、つまり他人が保存して『自分の子』としてアップすることもあり得ます。これは『デジタル誘拐』といわれています」
この「デジタル誘拐」で画像がアップされたり、フリー素材として使われていたり、コラージュして悪用されることもあるそうだ。
「賞状をもらったときに、子どもの写真と表彰状を合わせてアップしたりすると、教育委員会の名称などから居住地域が判明する場合もあります。制服などから、子どもが通っている学校を特定されてしまうこともあります」
わが子のみならず、お友達の名前を出すのもNGだ。
「よくあるのが、友人の投稿のコメントに●●ちゃん大きくなったね!と実名を書いてしまうケースです。勝手に個人情報を開示してしまったことで、その友人と険悪な仲になってしまうこともあります」
また、裸の写真をアップするのがNGなのはもちろんのこと、「水着を着て庭プールに入っている画像や映像もリスクが大きい」という。
「画像や映像を収集されたり、拡散される恐れがありますので、スカートなどもリスクがあります。名前や居住地、個人情報が合わせて特定されてしまうと、誘拐や猥褻事件などにつながる恐れがあります」
家の近所で撮影するのもリスクがある。
「近所の公園や、写り込んだ電柱に書いてある住所の表示、コンビニの店名などから、どの地域に住んでいるかを特定される恐れがあります」
怖いのは、ネットにはびこる「特定班」の存在で、彼らが「なにに興味を持ち、特定してくるかわからないところ」だという。
「なんらかの興味を持たれて、どんな職業で、どこに住んでいるという個人情報が、インスタやティックトックなど、さまざまなSNSから集められて、特定されてしまうんです」
より広く興味を持ってもらうためにSNSは活用できるが、「人に拡散したくないときは、非公開にすべきです」と鈴木さん。拡散しても構わない情報と、拡散NGの情報を、アップする前に確かめるのが大事だろう。
