6月10日、気象庁は世界各地に異常気象をもたらすエルニーニョ現象が、春から発生していると発表した。これにより、食料品の値上げラッシュに、追い打ちをかける恐れが出てきた。
異常気象の専門家である三重大学大学院生物資源学研究科の立花義裕先生は、こう警鐘を鳴らす。
「『エルニーニョ』とは、ペルー沖の海水温が平年より高温になり、逆に太平洋の西側の海水温が下がる現象のことです。西太平洋の海面水温が下がるので、日本は冷夏になりやすい。
ところが、通常の2度程度ほど水温が上がるエルニーニョに比べ、今年は水温が4度ほど高温化する『スーパーエルニーニョ』になる可能性が高い。すると西太平洋側も高温になり、日本を含め世界中が酷暑となります。
多くの地域は干ばつなどの異常気象となり、収穫量が激減するなど食物に深刻なダメージを与え、多くの輸入品によって支えられている私たちの食生活にも大きな影響が出るでしょう」
これまでスーパーエルニーニョは約20年周期で発生していたが、前回は2023年夏に発生したばかり。地球温暖化により発生間隔が縮まっているという。
3年前、日本は記録的猛暑となり、35度以上の発生地点数が観測史上最多に。秋も観測史上1位の高温を記録した。その影響で、米が高温で白く濁る白未熟粒が増加し、一等米の比率が59.6%と、2004年以降で最低水準に。流通量減などで値上がりし、次年の高騰化につながった。
また猛暑による高温障害で夏野菜や果物も大打撃を受けた。しかし、今年発生した場合は、これ以上の酷暑になりそうなのだ。
「発生すれば、過去140年間で最大級となり、2023年夏を上回る暑さが予想されます。
問題は、いつスーパー化するか。8月ごろに発生すると、温暖化のピークの暑さに重なり、40度を超える日が日本各地で起こるでしょう。秋にずれ込めば残暑が厳しくなり、雨の降る場所は局地的で、強い線状降水帯の影響を受けやすい。大型台風の影響も出るでしょう。エルニーニョは約1年弱続きますから、発生が遅くなればなるほど、翌年の夏に影響が出ます」(立花先生、以下同)
これまでスーパーエルニーニョが発生した年に、過去最高気温を更新してきた。しかも、いったん上昇した気温はなかなか下がらず、数年にわたって影響が持続する。
2028年ごろまでは猛暑が続き、農業や漁業に大きな影響を及ぼします。これまでと違う進路での大型台風や豪雨の被害、少雨など異常気象が頻発する恐れがあります」
