image

11月某日 東京

先日、帰国したついでにこちらの病院でちょっとした検査を受けたのですが、その際に人生で初めて胃カメラなるものを飲みました。実は中学校のころに1度だけ、謎の胃痛を訴えて病院へ連れて行かれたときに胃カメラを試そうとして、あまりの苦しさに断念した記憶がトラウマとなっており、私のなかでは検査の直前まで恐怖と不安が膨らんでいました。

しかし、考えてみたらあれからもう30年以上の月日が経っており、胃カメラのような医療機器も画期的進化を遂げていて当然です。中学校のときに運ばれた病院では、横暴な看護師3名に身体を羽交い締めにされ(私が暴れるため、それくらい身動きが取れない状況に抑えられていた)、親指くらいの太さもある(ように見えた)胃カメラを、無理矢理、のどの向うに送り込まれようとしたあの恐怖体験は、再び繰り返されることはありませんでした。

のどの奥には歯の治療で使うのと同じ麻酔が吹きかけられ、鎮痛剤を打たれた瞬間に私は一瞬の眠りにおちて、はっと我に返って目を覚ましてみたら、ちょうど胃カメラが抜かれてすべてが終わったあとでした。胃カメラ自体も以前よりスマートになっていましたし、麻酔が切れればのどに違和感を感じません。こうした医療技術の進化のお陰で、私は自分のトラウマを乗り越え、心地よき達成感を覚えることができたのです。

そんなわけで懸念していた胃カメラ検査はスムーズにこなすことができて喜んでいた私でしたが、その後に医師から受けた検査結果の報告は「ピロリ菌による3種類の胃炎が起きています」というものでした。

「ええっ…ピロリ菌!?」

「そうです。酷くなる前に見つけられたのは幸いでした」

と、胃カメラによるショットを私の前に広げた医師は、その生々しい臓物の、白っぽくなったり、荒れてボコボコになった部分を指差して丁重に3種類の胃炎の症状の説明をしてくれました。

「ピロリ菌はすぐに除菌してください」

とのことで、その日から一週間にわたるピロリ除菌ケアを始めました。日本に来る度に楽しみにしていたお酒や美味しい食事も控え、とにかくこの大病を起こしかねない憎々しい菌を取り去る努力を、この原稿を書いている今も続行中なわけですが……。