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家の中で楽しめるエンタメや流行を本誌記者が体験する“おこもりエンタメ”のコーナー。13億5,000万人以上という世界第2位の人口を抱え、経済成長著しい大国、インド。一度行った人は、あまりの人の多さと騒々しさと想像を絶する貧富の差を目の当たりにして、人生観や価値観がひっくり返されるといいます。今週は、そんなカルチャーショックをガツンと受ける骨太映画『ザ・ホワイトタイガー』をご紹介します。

 

■Netflix映画『ザ・ホワイトタイガー』独占配信中

 

’10年、インドのシリコンバレーといわれる都市バンガロールで、若手起業家バルラムは少年時代を思い出します。

 

カーストと貧しさゆえに父を病気で亡くし、村を出たいと考えた彼は、裕福な地主の息子アショクの専属運転手に。冷徹な地主とは違い、米国帰りのアショク夫婦はリベラルでバルラムは大事にされますが、ある事件をきっかけに、矛盾と怒りを抱え込むようになります。

 

前半はバルラムの苦労物語なのですが、単純な成り上がり映画ではありません。貧困がいかに深刻で社会的に生み出されたものであるか、そして、一見リベラルに見える人間ほど実はいかに利己的であるかを見せつけます。それは観賞者である私たちへのまなざしでもあります。

 

搾取されることに疑問を持たなかったバルラムの目がどんどん虎のように鋭くなり、やがて搾取する側へと転換するのです。暗い話であるはずが、彼の強い目力と存在感にぐいぐい引っ張られて、あっという間の2時間です。

 

(文:西元まり)

 

「女性自身」2021年2月23日号 掲載

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