6月26日、東京電力の株主総会が東京国立代々木競技場第一体育館で開かれた。出席者は2千90人。昨年の4千471人、一昨年の9千309人に比べ、大幅に減少した。株主提案がことごとく否決され、女性の悲痛な叫びが飛び交った株主総会を、経済ジャーナリストの荻原博子さんがレポートする。

 

「今年の議長は、下河邉(しもこうべ)会長が務めています。勝俣前会長の独裁体制が長く続いた東電を変えるべく選任された方ですが、株主からも『東電生え抜きでない会長も、相変わらずかたくなな姿勢』だと落胆が見えました。弁護士だからでしょうか、怒声が響く中でも終始、声のトーンを変えず、淡々と議事を進行。その冷静すぎる対応に、株主の怒りはさらにヒートアップするようです」(荻原さん・以下同)

 

下河邉会長は冒頭、「事故から2年余り経過した今なお、住民や株主、社会に多大なご心配とご迷惑をおかけしていることを心よりお詫び申し上げます」と謝罪。廣瀬社長が「福島の方々には親身・親切な補償を徹底していきたい」と発言したが、「事故の責任を取れ!」、「東電には能力ない!」などとヤジが飛んだ。

 

また、「高いお金を出して好きで株主になったんじゃありません。声をあげたいから」という女性も。東電の動向を見張りたいと、事故後に株を購入した新しいタイプの株主が増えているようだ。

 

「東電からの提案は、役員選任の1議案だけ。当然、賛成多数で可決しました。対して株主側からは、東京都が経営の透明性を求めるなど、過去最多の15議案も提出しましたが、すべて否決。東電は大株主である国の意向に従うだけで、やはり一般株主の意見など聞く耳を持っていません。やるせない思いです」

 

同じ気持なのか、昼を待たず「不愉快です」、「つまらない」と早足に立ち去る株主も多かった。

 

「巨大スクリーンに映る廣瀬社長をはじめ、壇上の経営陣は一様に無表情でした。回答は棒読みだし、なんとか早く切り抜けたいという意図がミエミエ。忌々しく感じました。議事はヤジに包まれながらも粛々と進みます。これでは何も生まれない。やっぱり、という残念な思いです」

 

総会は昨年より1時間50分短い3時間41分で終了。会場を後にする株主からは、「経営陣の考えは甘すぎる」(島根県・50代女性)、「3千万円もの役員報酬はひどい」(東京都・20代女性)、「原発事故のことを一番に考える方が中心になれば、何の問題もないはず。東電だけではなく、日本を引っ張る安倍首相も間違っている」(東京都・40代女性)と怒りの声が。

 

「株主さんの賛同を得られるかは別として、私個人としては、東電は国有化せず破たん処理すればよかったと思っています。送電設備などを売却し後処理や賠償に使えば、国有化し税金を投じるより低コストだったでしょう。発送電分離も進んだと思います。政府がいまだ原発推進を貫く裏には、利権が潜むのでしょう。東電や原発問題の舵は、国が握っています。安倍首相や経産省の動きを注視し続けなければなりません」

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