今回の食品偽装でもっとも数が多かったのが、エビの偽装である。典型的な例が、車エビを「ブラックタイガー」、芝エビを「バナメイエビ」で偽装することだった。そこで、この4種類にオマールエビを加えて食べ比べてみたら……。

 

「バナメイエビは身がぷりぷりしていますから、エビチリにはちょうどいいんです。でも気になるのは、茹でても身が白変しないことです。それと触感がヌメッとするというか……ちょっとへんな感じがしますね」

 

そう話すのは、東京・門前仲町にある中華料理店「オリエンタルビストロ・フィールズ」のシェフ五月女(そうとめ)和正さん。五月女さんは週に3回は築地に足を運び、20年間エビを扱ってきた、いわば「エビの目利き」だ。さっそく、五月女さんに5種類のエビをエビチリにしてもらった。味や食感を味わうには、エビチリがいちばんわかりやすいからだ。

 

芝エビは繊細な味で、エビの甘みが感じられる。ブラックタイガーは体がデカイだけで大味。圧倒的にうまかったのは車エビ。オマールエビももちろんおいしいが、車エビ科とはまったく別物の味わいだ。問題はバナメイエビだ。「プリッ」というよりも「ブヨブヨ」していて水っぽく、圧倒的に味わいが少ないのだ。

 

じつは、保湿性を高めるため「pH調整剤」や「リン酸塩」などの食品添加物を加える、下処理がされているからだという。ポリリン酸などの酸性の液につけると、エビの筋肉を構成するタンパク質の間に隙間ができて、そこに水が溜まるのだ。

 

もうひとつ有力と思わる説がある。それは業界でいう「ヤワラエビ」の可能性だ。脱皮直後の殻の柔らかいエビのことを、業界では「ヤワラ」と呼ぶ。一般に甲殻類は、脱皮前後に多量の水分を体内に取り込み、体重が著しく増加する。水分を溜め込んだせいか、タンパク質が凝固しにくい傾向があるらしい。これで、バナメイエビの身のブヨブヨ感と、過熱しても身が白変しない理由が見えてくる。

 

厚生労働省のHPでは、「輸入食品監視業務」の報告が閲覧できる。そのなかに「輸入食品等の食品衛生法違反事例」という項目があり、酸化防止剤まみれのインド産エビなどの事例が、これでもかというほど列挙されている。

 

頻出する違反内容は「成分規格不適合(AOZ検出)」というものだ。「AOZ」とは「フラゾリドン」という抗菌剤の代謝物質だという。養殖の段階でエビに投与された「フラゾリドン」が、エビの体内で分解され「AOZ」を生成し、それが検疫で検出されたわけだ。

 

「フラゾリドン」は日本で禁止されている合成抗菌剤で、発ガン性も否定できないという。だが、輸入エビの食品検査は、厚労省が必要と判断した場合にしか実施されない。ということは、AOZ入りのエビが輸入されている可能性は大いにありうるのではないか。

 

「たとえばエビチリでも、安いエビをたくさん出すか、高いエビを少し出すか、店ではどちらでも対応できます。どちらを選ぶかはお客さん次第ですが、でも多くの人はエビがたくさん入ってるほうを選ぶのではないでしょうか」(五月女さん)

 

(FLASH 12月24日号)