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(写真/AFLO)

《働かなければ生活は厳しくなる。だから働きながら、もう1人産みたい。でもこの制度では、上の子が強制的に退園させられてしまう。これでは、産むのをあきらめる人が確実に増えるだけ》

 

アンケートでこう現状を訴えたのは、3才児と1才児の2人の子どもを保育園に通わせている、埼玉県所沢市内に住む30代の主婦。彼女が憂える“この制度”とは、所沢市が施行する「育休退園」制度のことだ。

 

「昨年2月、長女を通わせていた保育園で、『第二子が生まれて育児休暇(育休)を取られるそうですね』と聞かれました。『はい』と答えると、『それならば、4月から上のお子さんは退園になりますので』といきなり通告されたんです。何を言われているかわからなくて、目の前が真っ暗になりました」(別の30代の主婦)

 

これは、2人以上の子供がいて、0~2才児の第一子を所沢市内の保育園に通わせている母親が育児休暇を取得した場合、上の子どもを強制的に退園させるというものだ。わかりやすく言えば、「母親が家にいるなら、自分で育てろ」というトンデモルールなのだ。困り果てた同市在住のママたちが昨年結成したのが、『安心して子育てできる街にしたい!!会』だ。

 

「第一子の退園を何とか避けようと、あきらめて市外に引っ越した人や、『2人目は中絶しました……』と辛すぎる選択をされた方もいるんです」(会のメンバー)

 

会では昨年11~12月に、市内の保育園利用者212人を対象にアンケート調査を実施。そこには“保活ママ”たちの悲鳴肉声があふれている。

 

《3人目も早く欲しかったけど、今回の制度があるので上の子(2人目)が(強制退園させられない)3歳クラスになるまではつくらないです。これは必ず人口減少につながる制度だと思います》(2才児が在園中の母親)

 

《保育園に通うことに慣れるまで、親子ともどもがんばってきた。子どもには親の仕事緒のため我慢させることも多いなかで、保育園という先生やお友だちと安心できる場所で楽しい経験を積むことができている。なのに、親の都合(第二子出産)でそれを奪ってしまうことが申し訳ない。また子どもに我慢させることになる》(2歳児が在園中の母親)

 

所沢市で「育休退園」制度を推進しているのが、藤本正人市長(54)だ。藤本市長は過去の記者会見などで、「子どもは2才までは『お母さんと一緒にいたい』と言うはずだ」という持論をたびたび展開。「育休退園」制度の正当性を主張してきた。

 

こうした押しつけに、教育評論家“尾木ママ”こと、尾木直樹さんは「時代錯誤もはなはだしい」と怒りをあらわにした。

 

「ずいぶん古い考え方ですね。今どきちょっと恐ろしいですね。(保育園などで)多くの人と接して、幼いころから社会性を育むことが子どもの発育面により良いということは、科学的にも証明されていることなんですよ。それを否定されているわけでしょう。見識を疑いますね」

 

所沢市の“保活ママ”たちが発するSOSは、一地方だけの問題ではない――。