コロナ生活苦、援交し妊娠した高校生も 助産師語る悲惨な現状
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「コロナのために、バイトを辞めさせられました。それで、お金もなくなっちゃって……」

 

女性から送られてきたメッセージは、こんな一文で始まっていた。それは、今年4月、兵庫県神戸市の「一般社団法人 小さないのちのドア」に届いたLINE。差出人はまだ10代、高校生だ。遊ぶためのお金欲しさではなく、家計を支えるためのアルバイトだった。それが、今年2月。新型コロナウイルス感染拡大の影響で退職を余儀なくされてしまう。

 

次のアルバイト先も見つからず途方に暮れていたところ、街で年配の男性に、こう呼び止められたという。

 

「おこづかいでも、稼がない?」迷った末、彼女は男性とホテルに。時給のいいアルバイト……そう、自分に言い聞かせた。ただ、その日はちょうど、排卵日だった。

 

「小さないのちのドア」の代表で、助産師の永原郁子さん(62)は、スマホの画面に表示されたその文面を何度も読み返しながら、どうにもやるせない思いを募らせていた。やがて、顔を上げるとため息まじりに、こう漏らした。

 

「たった1回きり、ほんのわずかなお金のためにね……」

 

思いがけず妊娠してしまった女性や、生まれてきた子を育てることができない母親など、妊娠や育児に悩む女性たちが24時間365日、いつでも駆け込める相談窓口、それが「小さないのちのドア」だ。永原さんが院長を務める「マナ助産院」の裏手、人目につきにくいようにして、そのドアはある。18年9月の設立以来、毎月20~30件のペースで、さまざまな新しい悩みが寄せられてきた。

 

そのペースが今春、一変。原因はコロナ禍と、永原さんは言う。

 

「3月、新規の相談件数が46件と、突然多くなって。『あれ?』と思っていたら、4月には89件、5月になったら120件と、どんどん増えてきた。しかも、それまで全体の3割ほどだった10代からの相談が8割以上を占めるまでに。相談内容のほとんどは『妊娠したかもしれない』というものです。親に相談できず、ここに連絡してくる彼女たちを、私たちは励まし、背中を押します。ときには、自分で言い出せない子に代わって、まず私たちから親御さんに連絡を取ることもありました」

 

冒頭の、援助交際をしてしまった高校生はその後、永原さんたちの勧めで産婦人科を受診し、妊娠が判明した。やはり彼女も、自分から親に切り出すことはできなかった。そこで、永原さんが彼女に代わって妊娠の事実を伝え、最後に一言、こう言葉に力を込めた。「ここ、お嬢さんを怒るところと違います、全力で支えるところですよ。この対応いかんで、これからの親子関係も、お嬢さんの人生も決まってしまうんです」

 

コロナ禍は、日本の社会が抱えるさまざまな問題をも浮き彫りにした。その1つが、性的虐待だ。あるとき、コロナのために休校中の10歳の子からの相談を受けた。

 

「最初は『生理がこないので、妊娠したかもしれない』というLINEでした」

 

優しくていねいに「初潮はいつ来たの? 生理は定期的にあるの?」と聞き出していく。

 

「そして、妊娠するような行為を何かしたのかを聞きました。すると女の子は『裸になって』と書き送ってきたけれど、どうやら挿入まではしていないよう。なので『ひとまずは安心していいよ』と返し、女性の体のことを改めて説明しました。ただ、その相手というのが……。その子は『彼氏じゃない』とだけは書いてきてたんですが」

 

ステイホームの時期のこと。ごく、近しい年上の男性が相手だった可能性は否定できない――。

 

永原さんは冒頭で紹介した高校生を例に語りながら、憤りを隠そうとしない。

 

「アルバイトを切られてしまった彼女の場合は、自分から男性を誘うアクションを起こしたわけではないけれど、なかには自ら援助交際に手を染めてしまった子もいます。でも、7人に1人といわれる子どもの貧困率を考えれば、援助交際をした子のなかにも、やむにやまれぬ事情があった子だって絶対にいたはず。コロナで景気が悪化し、大人の心や社会が不安定になったそのしわ寄せは、こうして弱い子供たちに向かうんです」

 

「小さないのちのドア」は今も、コロナ禍で追い詰められた女性たちに懸命に救いの手を伸ばし続けている――。

 

「女性自身」2020年7月14日号 掲載

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