夫看病で妻も重症化 大阪の自宅待機患者が直面する深刻な現実
画像を見る 自宅への訪問診療を行ってきた東大阪生協病院

 

■10日経過すると、ひどい状態でも退院させられる

 

まず最初に、夫・Aさん(69)の感染が発覚。容体が急変し、意識不明の状態となった。妻のBさん(69)は何度も保健所に入院をお願いし続けたが、「ベッドに空きがない」と断られ続けた。

 

このとき、東大阪生協病院がたまたまBさんに連絡したことで事態を把握。医師が自宅に駆けつけ、なんとか最悪の事態は免れた。当時、Aさんは酸素吸入が必要なほどの状態だったという。

 

そして、さらに事態は悪化していく。今度はBさんの感染が発覚したのだ。このときも吉永さんらが保健所にかけ合ったおかげで入院できたものの、Bさんは翌日に人工呼吸器をつけなければならないほどの重症だったという。

 

つまり自宅待機を余儀なくされたことで夫の症状が悪化し、さらに妻にも家庭内感染が広がったということだ。また、退院にも問題が。吉永さんが語る。

 

「保健所の基準では感染から10日が経過すると、自動的に“コロナは治った”と判断されてしまうんです。そのため患者はどれだけひどい状態でも、コロナ患者受け入れ病院から早期に退院させられてしまいます。

 

実際にBさんは退院する段階で、まだひどい肺炎の症状が残っていました。そのため、今はうちの病院に転院してもらっています」

 

大阪での医療崩壊が深刻化するなか、現場の奮闘が患者を支えている――。

 

「女性自身」2021年5月25日号 掲載

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