「重症化しやすい可能性も」阪大教授語る“悪玉抗体”の存在
画像を見る 悪玉抗体はワクチン開発の一助になる可能性も(写真:アフロ)

 

■悪玉抗体活用で重症者を事前に検査できる可能性も

 

これだけ聞くと、ますます新型コロナの脅威が高まるばかりのようだが、「感染増強抗体」の発見は“希望の光”でもある。

 

発展途上の日本のワクチン開発の一助になりうる未来を荒瀬教授は指摘する。

 

「新たな変異株で感染増強抗体のほうが強く働くことが起きた場合、感染増強抗体を増やさないワクチン開発が必要になることもあるでしょう。今回、明らかになった感染増強抗体の認識部位を改変することで、中和抗体の産生のみを特異的に誘導するワクチン開発が可能になるかもしれません」

 

日本各地で新型コロナ感染者によって病床が埋まり、本来の診療ができず、救える命が失われている。こうした医療崩壊を防ぐことができる可能性も秘めている。

 

「感染増強抗体の量を事前に検査することで、重症化しやすい人かどうかを調べることができるかもしれません。また治療方針にもつなげられる可能性があります」

 

緊急事態宣言の度重なる延長、東京オリンピックの開催と不安な日々が続く日本。“悪玉抗体”を上手に利用して、少しでも安心できる状況が生まれることを祈るばかりだ――。

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