■BA.2が感染爆発した場合、どんな状況になる?
BA.2が感染爆発した場合、どんな状況になってしまうのか。
第7波をシミュレーションした、東京大学の仲田泰祐准教授(経済学)は次のように予測する。
「東京都内で、人の移動の季節的な増加があり、歓送迎会などで人と人との接触が増加し、さらに3回目ワクチン接種率が停滞していることなどを考慮すると、4月中に新規感染者は急速に増加していく可能性は排除できません。5月中旬には東京都の1日あたりの新規感染者数が約3万人になる可能性もあります」
BA.2が変異株のなかでは重症化しにくいとはいえ、感染者数が急増すれば第6波を超える死者が出ることは想像に難くない。
じわじわと私たちに忍び寄るBA.2。有効な手立てはあるのだろうか?
「やはり3回目のワクチン接種が急がれます。イギリスの報告では、ワクチンを2回接種して25週以上が経過すると、BA.2の発症予防効果は18%に低下します。ただし、3回目の接種を行うと74%まで上昇。また重症予防効果についても従来のオミクロン株と同様、3回目の接種で90%ほどに上がることがわかっています」(松井氏)
■得てきた教訓をもとに第7波を正しく恐れる
4月8日現在で65歳以上の高齢者の3回目のワクチン接種は84%を超えている。その一方、全人口における3回目接種を終えた人は44.3%と思うように伸びていない。
前出の杉山先生はこう話す。
「副反応を理由に接種しない人がいますが、当院の研究で、発熱や倦怠感などの『全身性副反応』を発症した人の抗体価は、副反応がなかった人より2割程度高くなっており、また副反応を抑える薬を飲んでも高い傾向は変わらないことがわかっています」
その2割上昇した抗体価によって、感染や重症化を紙一重で回避できるかもしれないのだ。
「さらに、やがて訪れる第7波の大きさを少しでも抑えるためにも、3密の回避、すべての人が外出時にはマスクを着用するなど感染対策の基本をいま一度しっかり見直すことが求められています。感染者が自宅で服用できる抗コロナウイルス薬がまだ普及していないなか、遠回りのようでも、それが平穏な日常を取り戻す方法だと思っています」(杉山先生)
コロナ禍で得てきた教訓をもとに、BA.2を正しく恐れる心構えが、私たち一人ひとりに求められているーー。