コロナ後遺症 予防&最新治療を医師が解説「療養明けの無理が後遺症に直結する」
画像を見る 【グラフ】オミクロン株後遺症で多い症状

 

【4】上咽頭擦過療法を行う

 

鼻うがい以上に上咽頭の炎症に効果があるとされるのが、上咽頭に薬を直接塗り付ける上咽頭擦過療法だ。まだごく一部の耳鼻咽喉科でしか行われていないが、保険適用のため安価に受けることが可能。治療できる病院は増えつつあるので、探してみよう。

 

【5】鍼灸を試す

 

後遺症の症状全般を軽減してくれる可能性がある鍼灸。ただし、施術を受けるときには注意点も。

 

「普通に施術を行うと、効きすぎて、かえって悪化することも。最初は、すごく軽く施術をしてもらってください。だるくて治療院を受診できないという人は、訪問の鍼灸師にお願いしてみましょう」

 

【6】漢方薬を取り入れる

 

「漢方薬に詳しい医師に症状を説明し、自分に合った処方をしてもらうことで、後遺症が改善されるケースがあります」

 

【7】亜鉛やアミノ酸を取り入れる

 

味覚・嗅覚障害や脱毛などの症状が残っている人は、亜鉛が不足している可能性があるという。

 

「血中の亜鉛濃度を測ってから摂取するのが望ましいですが、近くに相談できるクリニックがない場合は、サプリなどで一般的な量を摂取して様子を見てみましょう。市販のアミノ酸(BCAA)が倦怠感の軽減に効果があった、という人もいます」

 

【8】呼吸リハビリをする

 

お金をかけずにできて効果的なのが呼吸リハビリだ。

 

「深呼吸するだけでも、症状が改善されるケースも。深呼吸で疲れてしまう人は、膝が直角になるように台に足をのせてあおむけに寝たり(上写真参照)、膝を立てた状態だとラクに呼吸ができます」

 

longcovid.jpで公開されている重症者向けの呼吸法の一例としては、ソファや段ボール箱などに足をのせ、左右の腕の下にクッションを置いた状態で5~15分通常の呼吸をするというものがある。

 

後遺症になってしまった場合でも希望を持つことが大切だ。

 

「当院で2カ月以上診察した“準寝たきり”だった患者645人のうち、76・4%は、ある程度生活できる、または仕事ができるところまで回復しています。焦らず治療・療養を続けてください」

 

各都道府県で案内されているコロナ後遺症外来がある病院やクリニックを受診したうえで、これらのポイントを実践してみよう。

 

とはいえ、まだコロナ後遺症を診るクリニックが少ないのが現実だ。

 

「増えない原因のひとつは、診療報酬が非常に低いからではないでしょうか。コロナ後遺症患者を診察するには十分なヒアリングが必要で、風邪の3〜5倍時間を要します。しかし、診療報酬は風邪と同じなのです」(平畑さん)

 

療養したくても仕事を休めなかったり、後遺症で仕事に行けなくなってしまう場合も。もし業務中にコロナに感染したのであれば「労災申請の検討をしてみて」と語るのは産業医科大学産業生態科学研究所・災害産業保健センター助教の五十嵐侑さん。

 

「認定されやすいのは、医療・介護従事者ですが『職場でクラスターが発生していた』『同僚が陽性だった』などがわかれば、どんな職種でも認められる可能性があるのです。パート・アルバイトでも申請でき、認められれば後遺症で休む場合も、給与の約8割が労災保険から支給されます。2年前まで遡って請求できるので、長く後遺症に悩んでいる人は申請してみるのもいいでしょう」

 

後遺症は治らないとあきらめず、健康な生活を取り戻そう!

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