■今ある貯蓄は少しずつ上乗せして投資を
「元本割れしない預貯金が安心という人がいますが、いまや金利の低い預貯金では老後資金を守れません。資産価値を保つには、物価上昇率を上回る利回りが必要。投資するしか道はありません。
2024年1月から非課税保有期間が無期限に、口座開設が恒久化された『新NISA』が始まりました。低リスクの安定的な運用でも年利3%は見込めますから、新NISAにトライしましょう」
投資初心者ができる限りリスクを抑えるにはどうすればいい?
「リスクをゼロにはできませんが“大きく減らさない安定的な運用”を目指すといいでしょう。お手本は公的年金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)です」
GPIFは2001年の運用開始以来、運用実績は3.91%と安定的だ。どんな投資なのだろう。
「GPIFは国内株式と国内債券、外国株式、外国債券を25%ずつ分散投資しています。個人がこれをまねるなら、4つの資産を均等に運用する『ニッセイ・インデックスバランスファンド(4資産均等型)』がいいでしょう。これ1本でバランスよく運用できるので、初心者向きだと思います」
うまくいけば年利は約4%も期待できる。仮に、Aさんが新NISAで月3万5千円のつみたて投資をして、利回り4%で運用できた場合、15年で元本は630万円だが、運用益を加えると約856万円になるという。
「50代だと、老後資金を預貯金で蓄えている人もいるでしょう。それも投資に回しましょう。ですが、今ある預貯金全額で株式などを一括購入するのはおすすめできません。一括購入のタイミングがむずかしく、初心者向きとはいえないからです。毎月のつみたて投資額に預貯金からも上乗せして、時期を分散した投資が安心です」
先のAさんが給与からの月3万5千円に貯蓄から月2万円を上乗せすると、毎月の投資額は5万5千円。15年で元本は990万円になるが、仮に預貯金なら利息はほとんどつかないので1千万円にもならないだろう。だが、年利4%で運用できれば15年たった時点で約1千346万円になる(図参照)。
冒頭、2%の物価上昇のため今ある1千万円が15年で目減りするとした261万円を超える運用益が見込まれるので、資産価値は守られるというわけだ。