ヒルドイド、アレグラ、ガスターも…10月から「先発薬」希望で窓口負担が増加!薬不足加速も懸念
画像を見る 【解説】10月から導入される新たな計算方法

 

■医療費無料の対象外低所得ほど負担増に

 

「生活保護の方も、自治体で子どもの医療費が無料の方でも、選定療養費の負担は必要になるので、低所得者ほど大変になるのではないでしょうか」(山根さん)

 

ただし、後発薬が品切れしているとき、〈後発薬が体に合わない〉など医療上の理由がある場合は、負担増なしで先発薬を処方してもらえる。医師に頼んで“医療上の理由”を書いてもらう必要があるのだが、保険適用されるか微妙なケースもある、と山根さん。

 

「ヒルドイドなどの塗り薬やモーラステープなどの貼り薬は、先発品と後発品で使用感がずいぶん違うので、効果は同じでも『変えたくない』という患者さんも多い。また、ヒアレインやルミガンなどの点眼薬も、含まれている添加物が異なるため〈先発のほうが目に染みにくい〉という理由で先発薬を好まれる方もいます。こうした理由が、どこまで認められるかはわかりません」

 

このほかにも、高齢者の場合は、〈薬の名前やパッケージが変わるとわからなくなる〉とか、抗うつ薬を服用している方は、〈飲み慣れた薬でないと不安〉と訴えるケースもあるという。

 

一方で、〈先発薬を出してほしい〉と頼む患者さんが増えると病院側の収入が減ってしまうという問題も……。

 

「患者自らが、先発薬か後発薬かを選べるように処方箋を書くと、加算が1枚あたり100円付きます。しかし、医療上の理由などで、先発薬を指定する処方箋を書くと加算が付きません。なので、よほどの理由がないかぎり、書きたがらない病院もあると思います」(山根さん)

 

今回のリストの中には、高齢者に常用している人が多いアムロジン錠(降圧薬)や、リリカOD錠(鎮痛剤)、メインテート錠(慢性心不全)、メマリー錠(認知症)などの薬も含まれている。

 

「こうした薬は継続して服用する必要がありますので、“医療上の理由”が認められず自己負担が増えれば、年金生活者の方々にとっても大きな負担になります」

 

神経障害性などに処方されるリリカOD錠(鎮痛剤)で試算すると、1日あたりの処方量(150ミリグラム×2回)を30日処方した場合、10月以降は3割負担で月約580円の負担増となる計算だ。

 

また、アルツハイマー型認知症の症状の進行を抑えるメマリー錠は1日1錠(20ミリグラム)を経口で服用するが、10月からは1錠約17円の“値上げ”となる(3割負担の場合)。症状の進行を抑えるためには飲み続けなければならず、年間で約6400円の負担増がずっと続くことになる。

 

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