■「子供を作ろう」と言われて妊娠、そして暗転
そうして、交際は1年4カ月を過ぎた。
「このころIさんから、『異動が落ち着くころに結婚しよう。子供が欲しいから、そろそろ子供を作り始めよう。2~3人は欲しいな』と言われました。Iさんの年齢を考えて、私は同意しました。すると、結婚を待たず、2023年12月中旬に妊娠がわかりました」
嬉しかった半面、結婚前なので不安もあったと、C子さんは当時の心境を語る。
「Iさんに妊娠を伝え、『産んでいいのかな』と伝えると、『当たり前じゃん! 早く籍を入れなきゃね。性別はどっちかなぁ』と言ってくれて、とてもうれしかったのを覚えています。3人での生活を想い描きながら、幸せな気持ちで新年を迎えました」
しかし2024年1月3日、C子さんはIが「既婚者」だったことを知ることになる。
「Iさんに、ご両親に私の妊娠を伝えたか、ご両親への挨拶をどうすればよいかを相談したとき、態度が曖昧だったので違和感を持ったんです。ふと、“バツイチだと思っていたけど離婚していないんじゃ…”との思いがよぎり、『離婚しているよね?』と確認したところ、『離婚した』と言うのですが態度がおかしく、『いつ? 本当に? 離婚できてないんじゃないの?』と問い重ねると、『離婚できていない…』と白状したのです」
Iには別居していた妻がいた。2026年の春に中学生になった子供はその妻との子ではなく、その前に交際した女性との間にできた子供だと、のちに判明する。
「彼は、『忙しかったから離婚を先延ばしにしていただけ』『妻も離婚に同意している』と繰り返しました。しかし、そのうち最初の話とは違ってきて、『妻が離婚届をくれない』『らちがあかない』と言い、妊娠がわかった2カ月後に弁護士を立てて離婚調停を始めました。そんな状況だったので中絶も考えましたが、彼は『中絶せずに産んでほしい』と言ったため、私は彼を信じて待つことにしたんです。けれど待てど暮らせど離婚話は一向に進まず、私は2024年8月に男の子を出産しました」
取材に同席したC子さんの母は、感情を高ぶらせながら当時をこう振り返る。
「Iさんが独身でなかったと知ったときは、ショックで怒りの感情が渦巻きました。でも、彼の誠実な態度で謝る様子と『ちゃんと離婚してC子さんと結婚しますから』 という言葉を私たちは信じることにしました」
C子さんは、Iと出会う前からずっと実家で母と暮らしていた。Iは近くの系列病院で月数回診療があり、C子さんが妊娠してからは診療の際や休日には、C子さんの実家で一緒に過ごした。「彼は赤ちゃんをとてもかわいがっていたのが救いだった」と、C子さんは言う。一日も早く離婚してほしいと願いながら、C子さんは実家で過ごした。
お食い初めなどの行事も済ませ、C子さんの実家からそれほど遠くないIの実家にもたびたび訪れ、先方の両親、弟夫婦らと一緒に家族写真も撮った。だが、Iの離婚は秋になっても成立しなかった。しかも、離婚に不利になるからと子の認知もしてくれないまま、Iからは離婚調停が裁判に移行したと告げられた。そんな環境のなかで、当時28歳だったC子さんの心は次第に追い詰められていった。
