2026年7月28日16時27分頃に熊本県を襲った最大震度7の地震。それからおよそ1時間半後の18時前、「イオンモール熊本」(嘉島町)で大規模な爆発が発生した。
「30日時点までに12人が救助され、このうち7人が死亡し、5人がケガをしました。現場では取り残された人がいないか救助活動が続けられていますが、爆発の威力はすさまじく、建物内部には大量の瓦礫が積み重なっています。一部では“ほふく前進をしなければ通れない”状態だそうで、捜索は難航しています」(社会部記者)
爆発を受け、7月29日16時半から、イオンの吉田昭夫社長とイオンモールの大野恵司社長が、熊本市内で記者会見を開いた。
「冒頭で、吉田社長は『命を失われる方々がおられるという事態を招き、慚愧(ざんき)の念に堪えない。深く深くおわび申し上げる』と謝罪し、頭を下げました。原因については『ガス爆発の可能性が高い』としながらも、現時点で詳細はわかっていないとのことでした。会見に参加した記者からは『予期できなかったのか』など、かなり手厳しい追及も受けていましたね」(事件担当記者)
イオングループは防災などを目的にした協定を150近い自治体と結んでおり、特に地方では、たんなる商業施設にとどまらず、設備の整った「防災拠点」として評価されてきた。はたして、今回の事故を通じて、こうした地位は失われてしまうのか。防災システム研究所所長・山村武彦氏はこう語る。
「私は60年間、災害現場の現地調査をやってきましたが、これほどの大規模なガス爆発というのは初めてですね。例えば阪神大震災でも規模の小さな一般家庭などで起きた事例はありますが、今回のような大規模ガス爆発は過去になく、誰も想定できなかったと思います」(山村氏)
それよりもむしろ、ガス爆発が起きるまでのイオン側の対応に注目すべきだという。
「私も訪れたことがありますが、イオンモール熊本は10年前の地震を教訓にして、建物の耐震化を進めてきたんです。釣り天井が落ちないように強化をしたり、建物も、現行のいちばん新しい2000年基準で耐震化を進めてきました。耐震補強をして、地域の防災拠点としての信頼性を高めてきていたんです。
実際、今回も揺れたあとに30分以内には3000人の客と従業員を避難させることができています。これは、ふだんの防災訓練や危機管理マニュアルが、かなりいい方向で役立った結果だと思います」(同)
ほとんどの人が避難を終えたあと、爆発が起きてしまった。避難した人や周辺住民からは爆発前に『ガスの臭いがした』という証言も出ている。
「原因や経過は、これから精査していく必要があると思いますが、一般的にはプロパンであれ都市ガスであれ、震度5相当の揺れを感知した場合は、ガスの遮断装置が働くようになっています。ガスが原因だとすれば、なぜ遮断できなかったのか、あるいは配管から漏洩したのか、事前にしっかりと点検されていたのかなど、さまざまな検証が必要になります。
ガス漏れの危険性がある場所では、火をつけないのはもちろんのこと、スイッチをイジらないのも大切です。たとえば、あわてて換気扇のスイッチを入れたら火花で爆発することもあります。出入口を開けて、一刻も早く外部に避難することが大切です」
今回の事故を受けて、イオンモールなど大型ショッピングセンターのなかにいる最中に地震が起きて、パニックになる人も出てくるかもしれない。
「急に地震がきたときにあわてるのは当たり前ですが、まず『落ち着いて』と自分に声をかけて、一拍おいて動き出すと落ち着けますよ。ガラスや照明器具や陳列棚など、転倒・落下物から離れた、少しでも広い場所に移動して、そこで姿勢を低くしてしゃがみ、頭と首筋をバッグや手などで守って、揺れが収まるのを待ちましょう。
揺れている最中はあわてて外へ出るほうが危険です。そのあとは係員の指示に従い、冷静に避難します。商業施設には避難経路マップが張り出されていますので、ふだんから、その避難経路マップを見ておくのもいいことです。エスカレーターやエレベーターは使わず、徒歩で出られるルートをしっかり把握しておきましょう」
なによりも大切なのは、ふだんからの備えというわけだ。
画像ページ >【写真多数あり】「粉砕された瓦礫で、まるで砂場のように」イオンモール熊本の悲惨な現状(他7枚)
