「歴史好きになった最初の目覚めは、小学生のころ。図書館で『学研まんが』の歴史シリーズ、『日本の歴史』だけではなく、『徳川家康』『坂本龍馬』『足利尊氏』なども読みあさりました。『ノーベル』を読んで、読書感想文で賞をもらったこともあるんですよ」
そう話すのは、いまもっともチケットが取れないミュージシャンともいわれるレキシ(40)。大奥、年貢、遣隋使など歴史をモチーフにした歌詞と、ファンクやラップ、ポップスに至るまで幅広いジャンルレスな楽曲とのギャップが人気を呼び、今年の夏には日本武道館での単独ライブも大成功を収めた。
いとうせいこうに「面白いミュージシャン3人衆の1人」と言われ、椎名林檎や斉藤和義、サンボマスターなどのミュージシャンたちも楽曲に参加。参加ミュージシャンには仲間の証しとして「レキシネーム」をレキシから授けられる。ちなみに、いとうせいこうは足軽先生、椎名林檎はDeyonna、斉藤和義は齋藤摩羅衛門……。
「どの時代も面白いけど、子どものころはやっぱり戦国時代や幕末好きでしたね。石田三成は処刑される寸前に『柿は体を冷やして毒だ』と柿を拒否した話がありますが、武士たるもの最後の最後まで何が起こるかわからないという覚悟があったと聞くと、おーかっこいいって思うんですよね」
大河ドラマ『篤姫』をヒントに『姫君Shake! Feat.齋藤摩羅衛門』という曲を作った。
「歴史は想像の産物なので、何が正解か本当はわからない。だから、曲作りのときはあまり調べすぎず、直感や瞬発力を大切にしています。歴史ドラマの予告編だけを見て歌詞の発想を得ることも」
彼の曲作りのヒントは、時代や偉人だけとは限らない。遺跡を巡り、ガイドの強すぎる地元愛の話から曲ができることもあるという。
「遺跡巡りが好きなので、周りにはネタ探しだろってよく言われるんです。でも、好きなのは、遺跡のガイドさんたちの話。どうやって地元を盛り上げようかをみんなが考えていて、遺跡の情報などよりもその土地の話になる。そういう地元の人たちの熱い思いの積み重ねが歴史だし、それが面白いから遺跡に行くようなもんなんです」