9月10日あたりに入院。20日に症状が悪化し、帰らぬ人になった(写真:アフロ) 画像を見る

「10月4日の夜11時20分すぎ、東京にいる事務所のスタッフから連絡がありました。そこで突然、『賢三さんはあと5分ほどで亡くなられます』と言われたんです。びっくりして聞き直したのですが、答えは同じでした……」

 

涙をこらえるようにしてそう語るのは、高田賢三さん(享年81)の実弟・紀年さん(79)だ。

 

新型コロナウイルスにより、10月4日にこの世を去った賢三さん。天才デザイナーの急逝に、世界中が悲しみの声を上げている。

 

そんななか、賢三さんの出身地である姫路市できょうだい3人が会議を開いていた。紀年さんは亡くなる直前の状況をこう明かす。

 

「兄がコロナで入院したのは9月10日あたり。そのときはまだ、こちらに何の連絡もなかったんです。症状が軽かったため、心配させまいと気遣ってくれたようです。

 

ところが、20日に症状が悪化。東京のスタッフから『すぐにでもフランスに飛んでほしい』と電話がありました。

 

それで急いで渡仏の準備を整えたのですが、今度は『回復したので、今すぐ行かなくても大丈夫です』と言われて。しばらくはその繰り返しで、一進一退の病状が続いていました」

 

だが、別れは突然だった。冒頭のように告げられた紀年さんは「まさかこんなことに」と信じられない様子。さらに、遺族を呆然とさせる出来事が……。

 

「現地でのお別れ会に向かう予定だったのですが、向こうのスタッフに『来ないでください』と言われて……。ウイルスが蔓延しているため、来ても身動きが取れないとのこと。またコロナで亡くなっているため、どちらにしても顔を見てのお別れはできないそうです。

 

結局、兄とは会えずじまいです。ただ菩提寺に戒名だけは付けてもらって、パリに送りました。それで現地のお坊さんにお経を上げてもらおうと思っています」

 

「女性自身」2020年10月27日号 掲載

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