GACKT自白!格付け個人76連勝“間違えない考え方”は「一部の金持ちが価値を決める」
画像を見る (撮影:竹中圭樹)

 

■世界の一部の金持ちが、高級なものの価値を決める

 

バンドをやっている20代半ば、よく遊びに行っていた神奈川の友人・市川氏がいた。20代半ばの頃から30代半ばの彼が亡くなるまでの間、車屋だった彼から常にクルマを買っていた。ディーラーからではなく個人である彼からクルマを買っていたのは、彼のこだわりがクルマに対してはもちろんのこと、他のことに対しても素晴らしく繊細で、彼の物事に対する姿勢に惚れたからだった。めちゃくちゃデカい屋敷に住み、屋敷の入口には売り物のクルマを並べ、整備から改造まで一人ですべてやってのける知識と技術、そして強いこだわりを持っていた。夜中仕事が終わってから彼の屋敷に向かう東名高速のドライブもまた、当時のボクには貴重な憩いの時間だった。彼の屋敷で寝落ちし、朝の5時半にそのまま東京の現場に向かうこともザラにあった。それほど、彼と過ごした時間は貴重で彼から受けた影響は大きかった。

 

そんな彼のこだわりはクルマだけではなく、コーヒー、酒、音楽、映画と幅が広く、彼とはよく映画談義を交わしていた。「コーヒー飲む?」と笑顔で言うと、そこからコーヒーを出してくれるまでの間、その豆はどうやって作られたのか、その豆の特徴など背景を細かく説明しながら最後にカップを並べ優しくコーヒーを淹れる。そして、「はい、どうぞ」とここまでが長編CMを見ているかのような、まるでバリスタと話しているかのような感覚だ。話の引き込み方が非常に上手い。彼から学んだことは知識だけではなく、その独特の話し方、雰囲気作りがいかに大事かということだ。映画の話をし始めると、監督、出演している俳優の名前をすべて覚えているだけでなく、その俳優の他の出演作品もすべてエッセンスとして盛り込んでいく。彼の話の引き込み方に感動し『覚える』という意味、知識を物にするという努力と覚悟はこういうことなのだと気づかされた。映画の話を一つするにしても、作品のタイトル、俳優の名前だけでなく、『どれだけ感動したか』を誰かに話すためには、伝えるためのドラマの組み立てができないとダメなんだと思うようになった。単純に、「あの人」「あの作品」では説得力に欠ける上に話が薄っぺらい。当時、スマホなどなく調べるのもいちいち大変な時代だ。そもそも『あれ』『これ』『あの』『その』では自分が感動したというドラマを組み立てることもできない。話を組み立てるために必要な『覚える』という基本行為には、さらに専門用語も理解する必要がある。その背景までも深掘りするならより覚えることは増えてくる。次々に出てくる新しい言葉に苦しみながらも、『覚える』ことがいかに本気の覚悟と実行力が必要であるかを実感した。彼との出会いから、常にどんなことにも深さを意識し追求するようになっていった。今のGACKTを形成する大きなきっかけとなった。

 

ワインに話を戻すが、価値・価格には色んな要素があり、美味しい美味しくないはもちろんのことだが、希少性・ブランディング・設備や作り方・設備投資さえも価値付けの対象となる。世の中の大多数の価値観で高級なものの価格が決まるのではなく、世界の一部の金持ちがその価値を決める。彼らが価値・価格を上げる。だから高くなる。知識のない者たちは「なんでこれがそんなに高いんだ!」と言う。彼らにとっては世の中の大多数が[高い物]という共通認識を持てば、『これは高い物だ』と受け入れるのだが、認知されていないものであれば『これがなんでそんなに高いのかまったく理解できない!』『無駄』『無駄遣い』となる。つまり、これは[知識=価値]とも言える。[知識を増やす=その物の詳細や価値を理解できる能力を手に入れる=自身の能力が上がる=自身の価値が上がる]と言っても過言ではない。知識を増やすためには多くの時間を費やすが、その対価は想像よりも遥かに大きいということだ。

 

知識は誰にも奪われることのない財産。知識を増やすことを軽んじている者も多いが、死ぬまで知識を増やすことにもっと貪欲になるべきだろう。自分自身の価値が上がっていくことだと認識できれば、勉強であれ、研究であれ、知識を増やす行為がとても貴重な時間となる。そして人との出会いは、人生をより豊かにする大きなきっかけとなる。

 

 

 

前作『自白』刊行から20年、今回刊行された『自白II』では波瀾万丈のアーティスト人生を歩んできた彼が50歳となった今、20年の沈黙を破って後半生を振り返っている。遺書を20通書いた活動休止期間の苦闘、主演映画『翔んで埼玉』の舞台裏、超人気バラエティ番組『芸能人格付けチェック!』の葛藤、先輩アーティストたちとの華麗なる交流録、実業家として億単位の負債、最後の恋など仕事と私生活を全13章で自ら綴っている。

 

【INFORMATION】

 

GACKT自白!格付け個人76連勝“間違えない考え方”は「一部の金持ちが価値を決める」
画像を見る 20年ぶりとなるGACKTの続編自伝『自白II』(光文社)

https://www.amazon.co.jp/dp/4334101453

 

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出典元:

WEB女性自身

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