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「被告人は、いずれも無罪――」

 

『虎に翼』の5月3日放送回では、ヒロインの父・直言(岡部たかし・51)が、1年半に及んだ裁判で無罪を勝ち取るシーンが描かれた。

 

父を信じる寅子たちの思いによって、不利な状況を覆し無実が証明されたことに、SNS上などで感動の声が多数上がった。法廷闘争の間、お茶の間の注目を集めたのが、父親役の岡部の好演だ。

 

「名バイプレイヤーとして数々のドラマに出演してきた岡部さんですが、’22年放送の『エルピス-希望、あるいは災い-』(フジテレビ系)でとがったプロデューサーを演じ、一躍知名度を高めました。

 

朝ドラ『ブギウギ』にも“アホのおっちゃん”役で出演、先日放送の『情熱大陸』(TBS系)で特集されるなど“イケオジ俳優”としてブレーク中です」(演劇関係者)

 

勢いに乗る岡部だが、じつはこの春に、一つの“別れ”を迎えることになるという。

 

「演出家の平田オリザさんが芸術総監督を務める『こまばアゴラ劇場』が今月末に閉館し、40年の歴史に幕を閉じるのです。この劇場は若手俳優や地方の劇団に公演の場を提供してきており、岡部さんも数々の作品に出演しています」(前出・演劇関係者)

 

岡部は芸能界入りを志して’96年に上京。柄本明(75)が座長を務める「劇団東京乾電池」の研究生になった。研究生としての卒業公演の舞台こそ、こまばアゴラ劇場だったのだ。

 

自身の初舞台について岡部に取材を申し込むと、当時の様子を次のように振り返ってくれた。

 

「勢い勇んで、脚本・演出、さらには主演もやろうとしたのですが、筆が進まず、十二指腸潰瘍を患い、異常なまでに激ヤセしました。さらに自分が書いたものが恥ずかしくて、本番では舞台上で前を向けず、どんどん舞台の後ろに下がっていってしまって。当時付き合っていた彼女からも……、これ以上は言わぬが花でしょう(笑)」

 

記念すべき初舞台は自身にとって“有罪”の苦い記憶となっているようだが、この後正式に劇団員となった岡部は役者の道を本格的に歩みだす。

 

初舞台から10年が経過したころ、壁にぶつかった際にヒントをくれたのも、こまばアゴラ劇場のステージだったと岡部は言う。

 

「おれ停滞してるな、という気持ちになって、おもしろいと思う企画や劇団のオーディションを受けまくり、アゴラで開催する公演に出演することになったんです。これまでやってきたこととは違う稽古で新鮮だったのですが、同時に慣れないことへの戸惑いやふがいなさも感じました。それを乗り越えた公演が、おもしろかったと好評だったんです。自ら動き、実感を得たことは、俳優としての大きな経験になりましたね」

 

それだけ思い入れの深い劇場が閉館することについて、いまの胸中を岡部に聞いてみると――。

 

「心寂しい気持ちもありますが、僕の友人たちがすでにあちこちで活躍しているのを見ると、『こまばアゴラ劇場』で、平田オリザさんのもとで学び培ってきたものは、すでに未来に向かっているんだなと。ええ感じに伝承されていくんだな、と感じています」

 

遅咲きのイケオジ俳優は初舞台を踏んだ“役者の原点”の記憶を胸に、これからも愛あふれる演技を見せてくれるに違いない。

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