尾上松也 渡辺えりに本音告白「歌舞伎休業で演技が爆発」
家族ぐるみで交流のある渡辺えりと尾上松也。

尾上松也(35以下、松也)えりさんとは家族ぐるみで身内みたいなお付き合いをさせていただいて。

 

渡辺えり(65・以下、渡辺)そうそう、お母さん(元新派女優の河合盛恵さん)とは“えりもりコンビ”で『ぴったんこカン・カン』(TBS系)に出ました(笑)。妹の(春本)由香ちゃんとも今春、舞台『有頂天作家』で共演する予定でしたし。コロナの影響で延期になってしまったけど。

 

松也 4年前、舞台『狸御殿』でえりさんと共演させていただいたときは、毎晩のように飲みに行ってましたよね。

 

渡辺 あのときは母子役で。新橋演舞場は(故・中村)勘三郎さんゆかりの劇場だったので、私が何度も泣いて演技できなくなる日もあって。そのたびに松也くんがカバーして慰めてくれたんだよね。

 

松也 えりさんは大先輩ですけど、本当にどんな新人の方よりも探求心と向上心が強くて、見習わなくてはと驚かされました。

 

渡辺 松也くんは明るくて、人を甘えさせてくれる、ドンと来いという大きな親分肌のところがあって、一緒にお芝居してると勘三郎さんのたたずまいを思い出して、すごくうれしいんです。

 

2人は8月21日からの舞台『消えなさいローラ』でも共演する。松也は現在、ドラマ『半沢直樹』に瀬名洋介役で出演中。実は渡辺も大の『半沢』ファンであり、話題は収録秘話へと移っていった。

 

渡辺 見てますよ、『半沢直樹』! 皆さんの顔芸、すごいよね(笑)。

 

松也 ありがとうございます。現場では直前までフェースシールドをつけているので、本番では皆さんのテンションが急にあがるんです(笑)。

 

渡辺 7年前の第1作のときから見てたの?

 

松也 見てはいましたが、続編への出演が決まってから改めて全部見直しました。やはり、惹かれましたね。香川(照之)さんも(片岡)愛之助さんも、あれだけ大胆な演技をしても『半沢直樹』の中では普通に感じられる。笑えるのに説得力があるじゃないですか。僕も頑張らないとなと心しましたね。今回は残念ながら香川さんと(市川)猿之助さんとは現場が一緒になることがなくて……。

 

渡辺 瀬名社長が着ている、あの白いVネックのインナー、すごく似合ってるわよ!

 

松也 あの白いインナーはジャイさん(福澤克雄監督)が決めてくださったんです。皆さんスーツが多いなか、瀬名だけがカジュアルなのですが、服装には無頓着、先輩肌ってイメージで選んだそうです。

 

渡辺 スティーブ・ジョブズ(アップル社の創業者)をモデルにしたとかあったの?

 

松也 いや、原作を読んだ僕のイメージと、ジャイさんの思い描く瀬名像で構築しました。瀬名は正義漢で熱い男ですからね。歌舞伎の諸先輩方の怒った表情を想像したり、どんな演技をされるのかを予想したりしながらつくっていきました。

 

渡辺 大和田役の香川さん、第4話ではほんとに泣いてましたよね。

 

松也 香川さんは変幻自在ですよね。あの演技力には頭が下がります。原作では大和田は登場していないので、ドラマの演技はオリジナルなんです。

 

渡辺 会社のシーンでも何十人もエキストラ使って、緊張しない?

 

松也 僕の役は重要な役だとジャイさんから伺っていたので、撮影初日は緊張しましたね。堺雅人さんとの最初のからみでは堺さんがすごい長ゼリフで、それが完璧だった。専門用語がたくさん入ってるのに、まったくかまずに。そんな堺さんに引っ張られ、僕も負けていられないという気持ちになりました。堺さんは緊張してた僕を見て、『歌舞伎、これから先どうなるの?』とかフランクに気さくに話しかけてくださって。

 

渡辺 堺さん、私が演出した舞台にも出てくれたことがあったんですが、打ち合わせに20分遅れてきたから思わず雷落としちゃって。もっとやさしくしとけばよかった(笑)。ほかに印象に残ってるシーンある?

 

松也 僕が郷田社長(戸次重幸)のオフィスに乗り込んで詰め寄るシーンです。瀬名社長は短気なのでいきなりぶち切れ、堺さんが体を張って止めに入る場面があったんです。そのとき堺さんが「全然遠慮しないで振り払っていいよ」っておっしゃってくださったので、思いきりできました。「これぞ『半沢直樹』!」って感じでした。

 

渡辺 半沢さんとの剣道のシーンも素敵だったわね。

 

松也 あのシーンは1日がかりで撮ってたんですよ。道場を去るシーンでは、これからいよいよ反撃開始だと。そう思ったら思わず「うおー!」と口から奇声が出ちゃって!

 

渡辺 アドリブでしょ? 監督から怒られなかった?

 

松也 逆にジャイさんが喜んでくださって、褒められたんです。

 

渡辺 それは私も鼻が高い(笑)。

 

『消えなさいローラ』は松也にとって7カ月ぶりの舞台になる。

 

松也 僕、えりさんが演出される舞台にまた出演したいと言っていたので、今回ようやく夢がかないました。

 

渡辺 松也くんは私が演出した歌舞伎『新版 舌切雀』にも出てくださって、あれが初対面。

 

松也 あのときは僕はまだ22歳。当初はセリフもないお役だったのが、勘九郎さんが早変わりで2役勤めるはずが間に合わない。それでもう一つのお役を(片岡)孝太郎さんが勤めることになって、そのお役が僕に回ってきた。稽古中はえりさん、僕のことをかなり我慢してくださってましたよね(笑)。

 

渡辺 勘三郎さんに「あの子、大丈夫?」なんて失礼なことを言ったら「いい役者んだから我慢して見てやれよ」と怒鳴られて。稽古終わるころには反省してました。

 

松也 2人芝居は僕の人生で3回目。最初に稽古場入ったとき、お芝居ができる喜びでグッときました。1月の新春浅草歌舞伎以降、舞台に立っていませんから。

 

渡辺 コロナだから握手もハグもできなかったですけど(笑)。

 

松也 今回の舞台はミステリアスで、コメディでもあり、深い話なのでぜひご覧いただきたいです。

 

「女性自身」2020年9月1日号 掲載

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