元セイントフォーの岩間沙織さん 画像を見る

「母が厳しくて、反抗もできなかったため、何かで自分を表現したいと思っていたんです。それで女優志望としてタレント養成所に入ったのに……気づけば歌あり、踊りあり、アクロバットまであるアイドルグループのメンバーに」

 

こう語るのは、’84年、デビューに40億円の予算がつぎ込まれた女性アイドルグループ「セイントフォー」の岩間沙織さん(57)。

 

「周りのアイドルは、みんなかわいい衣装でしたが、『チャラチャラしたドレスでアクロバットができるか!』と社長に言われレオタードが衣装になっていたんです」

 

岩間さんは「側宙」といって、手を使わない側転を特技としていたが、求められるレベルも次第にエスカレート。

 

「ある映画の撮影で急きょ、トランポリンで跳び上がって全員で前宙返りをすることに。高く跳びすぎてバランスを失い、ステージにたたきつけられました。メンバーは死んだと思ったみたいです(笑)」

 

グループは3年半で解散。その後は女優の仕事を続けていたが、45歳のときに転機が訪れる。

 

「母が病院で介護のお手伝いの仕事をしていたんですね。その姿を見てふと、高齢者の方を元気にする仕事はすてきだなと思い、ヘルパーの資格に挑戦したんです」

 

訪問介護の職に就き、1年後には介護タクシーのドライバーの資格を得るために二種免許も取得。

 

「同じ年に、利用者さんが突然倒れたときに対処できるよう、患者搬送乗務員の資格も取りました」

 

現在は介護福祉士として、スクーターに乗って都内を行き来し、訪問介護を続けている。

 

「入浴のほか、料理や買い物など体と生活のお手伝いがメインです。冷蔵庫の仕分けを間違えて『それは賞味期限切れだろ!』と怒られたことも。その利用者さんはすごく怖かったのですが、通っているうちに心を開いてくれました。これもこの仕事の喜びです」

 

人手不足の介護では、体調を崩さないよう健康に気を使っている。

 

「夜の8時から16時間断食ダイエットを。’16年からは4年連続で、30キロの青梅マラソンにも挑戦しています」

 

その傍ら芸能活動も続けてきた。

 

「’18年にはセイントフォーの再始動ライブを行いました。側転などのアクロバットもちゃんと取り入れています。先日は、シェイクスピアの『リア王』(5月24~29日・池袋シアターグリーン)に出演が決まり、間もなく稽古が開始。今年は舞台に力を入れます」

 

還暦を間近に、ますますアクロバティックな日々が始まりそうだ。

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