パクチー。本誌街頭調査で100人に聞いたところ、50%が「好き」と、「嫌い」の41%を上回った。そして「好き」という人は、ほぼ例外なく「大好き!」と答えた。巷は空前のパクチーブームなのである。

 

ところで「パクチーとコリアンダーって同じ味がするよね。てゆうか、同じもの?」といった話になったことはないだろうか。またスーパーで「香菜って『こうさい』って読むの?これってパクチーのこと?」といったような。

 

もうおわかりだろうが、これらはすべて同じもの。パクチーはタイ語。パクチー抜きでタイ料理は語れない。コリアンダーは英語。イギリスではハーブのひとつとして活躍し、料理にはあまり使われない。メキシコ移民が多いアメリカでは、スペイン語でシラントロと呼ばれることが多い。香菜は、中国語のシャンツァイを日本語読みした、日本での統一名だ。

 

そのほか、タイ同様パクチーを料理によく使うベトナム語ではザウムイ、種が料理に使われるフランス語ではコリアンドル、インド語ではダニヤー。ガラムマサラには欠かせないスパイスだ。イタリア語ではコリアンドロ、インドネシア語ではダウン・クトゥンバル、ミャンマー語ではナンナンビン、韓国語ではコス、タカログ語ではウンスェイ……。

 

実にさまざまな名前がある。つまり、パクチーは昔から世界各国で親しまれてきた野菜というわけだ。ちなみにコリアンダーの語源は古代ギリシャ語で、臭い虫の代名詞であるカメムシを意味する「koris」と、香りの強いアニスの実「Annon」を組み合わせたともいわれている。日本でも「カメムシソウ」と呼ばれることがあるそうだ。

 

古代エジプト、ギリシャ、ローマなどでは薬草として重宝されていたが、現在では使われ方に各国特徴がある。先に紹介したように、生葉、茎、根までを料理する国、種をおもにスパイスとして使用する国など、バラエティに富んでおり、世界中で愛されているのだ。