「自分の姿をひどく醜いと思い込む『身体醜形障害』に苦しむ40〜50代前半の女性が、最近よく見られます。患者さんは、客観的に見て、容姿が優れている人たちが多いんですよ」

 

こう話すのは、青山渋谷メディカルクリニックの鍋田恭孝名誉院長。精神科医で臨床心理士。同クリニックには、全国から身体醜形障害に悩む老若男女が訪れている。100点満点が完璧に近い美女・イケメン、50点が平均だとすると、患者のほとんどが80点くらいの美男美女だという。

 

「正確な患者数のデータは出ていませんが、私が診察するケースは増えています。男女比は5対5。14〜15歳で始まり、ピークは19〜20歳。15〜24歳で全体の7割です。しかし、女性のみ40〜50代前半にも起こります。全体の1割が40代以降の女性と言えるでしょう」

 

見た目を気にする多感な若い世代がそうした疾患にかかるのはわかるが、40代以降の女性の場合はなぜなのか――。

 

「もともと容姿に自信があり、プライドも高かった人が、加齢により容姿が衰え、自信がなくなってくると、発病するケースが圧倒的に多い。そうした人は、更年期にともなう精神的な不安定さやうつ状態がベースにある場合も多いですね」

 

それまでの人生、美しさゆえほめそやされてきた人が、加齢にともないチヤホヤされなくなると、「この容姿さえ元に戻れば、以前のように愛される自分になるのではないか」と、やたら容姿に執着するようになるのだという。

 

「40代以降の多くの女性は、加齢とうまく折り合って生きていくものなのですが、この疾患の患者さんはそれができないのです。いちばん輝いていたころの自分にしがみついてしまうんです」

 

ここで『身体醜形障害』の可能性がある5つの症状を紹介しよう。

〈1〉エステに週1回以上通っている

〈2〉吹き出物やシミなどが気になり、皮膚科によく行く

〈3〉思い込みが強いほうだ

〈4〉自分の容姿は100点満点中0点以下(マイナス)だと思う

〈5〉若い頃はかなりモテた

 

思い当たる人は要注意。身体醜形障害にならないように気をつけるべきことは――?

 

「友達と外出したり、何か趣味を持ったりするなど、とにかく孤独にならないようにしてほしいと思います。男性にモテることだけが幸せだと思わないようにしてください。容姿さえ変えれば、打ち出の小づちのようにすべてがうまくいくとは思わないようにしてほしいですね」

 

最後に、エイジングとうまく付き合っていくアドバイスをもらった。

 

「『私はこうじゃないと絶対ダメなの!』と容姿にしがみつくのがいけないというだけで、テレビや雑誌などに刺激されて、少しでもキレイになりたいと努力するのは、生きる活力にもなり、とてもいいことです。現状を少しでもよくしたいと前向きなのは、健康な証しですよ!」

 

容姿だけに執着せず、自分の年齢とうまく折り合いをつけて生きていきましょう!

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