「いらっしゃい!」 ドアを開けるとにこやかに響く声。注文待ちの先客が並ぶカウンターに腰かけても、5分と待たずにチャッチャと出てくるイキのいいラーメン。

玉子ラーメン500円。味玉ではなく、月見そばのように落としたとじ玉子。強いコシのおそばを思わせる独特の麺。見ためは“よくある東京ラーメン”だけど、他のどことも違う味。

三鷹の街で56年。地元の常連さんたちに愛され続けているラーメン屋さんが「江ぐち」だ。お昼どきには近所のサラリーマンや学生、地元のお店で働く人たちが“お昼”を食べにくる。

素早い提供、ワンコインのおトク感、飽きのこない味、見ため以上の腹もちのよさ。「ラーメンを食べに行く」というよりは「お昼、食べてくる」との感覚がこの店にはピッタリくる。

それでいて、チェーンの牛丼屋や立ち食いそばで感じる味気なさや一抹のさみしさとは無縁。常連さんに囲まれながら、おひとり様でも楽しく食事できるオープンな空気があるのだ。

ねじりハチマキに年季の入ったご主人、大柄でやさしそうな跡取り息子、気さくで働きものの奥さん、寡黙に働く親戚のおじさん…「江ぐち」で働くみなさんを見るたび、そんな家族の姿を想像していたが、話を聞いたら全然違っていた(笑)。

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