「5年ほど前から野菜をそのまま冷凍することにチャレンジし始めました。その結果、失敗もありましたが、ほとんどの野菜が生のまま冷凍保存できることがわかりました。保存期間が延びる以外に、さまざまなメリットも発見したんです」
そう話すのは料理研究家の島本美由紀さん。料理の一般常識のひとつに「野菜はゆでてから冷凍する」というのがある。これに疑問を感じた島本さんが、自らその常識を打破し、そのチャレンジの成果をまとめた最新刊『生のままベジ冷凍』(小学館)が今話題だ。
あえて生の野菜を冷凍するメリットとは?島本が10のメリットを教えてくれた。
【1】最長1カ月長持ちする
【2】安いときに大量買いして冷凍すれば節約に
【3】火の通りが早くなり、時短調理が可能
【4】調理時に下ごしらえがないので楽
【5】使いたい量だけ利用できる
【6】余分な油を吸わなくなって低カロリーに
【7】うま味がアップする野菜もある
【8】独特のにおいやクセが消える野菜もある
【9】栄養価が高くなる野菜もある
【10】味が染み込みやすくなる
「最近は異常気象などで急に野菜の価格が高騰することが多いですよね。安売りしているときにたくさん買っても使いきるのが大変ですが、冷凍にすれば1カ月もちます。夏野菜はまとめ売りされていることが多いので、生ベジ冷凍が特に有効。買ってきてすぐに冷凍してしまえば経済的ですし、下ゆでもないので時間もかかりません」
生野菜を解凍すると、細胞内の水分が氷のトゲとなり、組織膜を破ってしまう。これが野菜が生のままの冷凍には不向きとされてきた理由だが、島本さんはこの性質を利用する方法を編み出した。
「組織膜が破れるため、野菜自体は軟らかく、味は染みやすくなります。ほうれん草は、ゆでずにお湯をかけて水にさらすだけでおひたしに。トマトはうま味や甘味がアップし、きのこ類は栄養価がアップします。煮込み料理なら短時間で野菜に味が染み込みます」
節約できて、おいしさアップ、調理時間も短縮。また少量使いたいときは使いたい分だけ解凍すればいいなど、いいことずくめ!ただし、注意するポイントも。
「一度冷凍すると、解凍しても生野菜の食感は失われます。オクラや長いものすりおろしなどはそのまま使えますが、基本的には生野菜として食べるのはあきらめましょう。煮込む、炒める、おひたしにするなど、調理用野菜として使います。料理に合わせてカットしておくと便利ですよ」