「1回の受講で、それまで一度も口にしなかった野菜を食べられるようになるお子さんもいらっしゃいます」と、日本野菜ソムリエ協会が主催する『野菜ソムリエの野菜ぎらい克服塾』でのエピソードを語るのは、シニア野菜ソムリエの立原瑞穂さん。

 

東京都渋谷区の小鳩幼稚園では、’13年5月からこの克服塾を開催している。この日は第6回となる“授業”が行われていた。毎回、ひとつの野菜を取り上げ、そのおいしさを子供たちに紹介し、野菜好きになってもらおうというのがこの塾の狙い。今回のテーマは、秋の味覚の代表・きのこ。

 

最初は、ただ焼いただけのしいたけやエリンギ、えのきだけを前に「くさい!」と顔をしかめていた子供たち。立原さんは「のりを巻いて食べてみよう!」「お醤油をつけたらどうかな!」と、子供たちが興味を持つようにいろいろとアドバイスする。次第に子供たちは、おそるおそる口にし始め、結局、最後には完食してしまった。

 

参加した園児の1人、吉岡美莉愛(みりあ)ちゃん(5)は「みんな、おいしかった!」と満面の笑み。美莉愛ちゃんのママ・志乃さん(36)は、この克服塾を通して、美莉愛ちゃんがこれまでお皿からよけていた野菜も食べるようになったと話す。

 

「きのこはとくに嫌いで、今まで本当に食べなかったんです。それが『おいしい』なんて……奇跡です!」

 

立原さんは、子供たちの野菜ぎらいには自然な部分もあるのだと解説する。

 

「生き物の本能として、苦いものは毒、酸っぱいものは腐敗している、と感じるのです。だから子供が野菜を苦手でも、本能が備わっているということで褒めてあげてください。けれど、それが『毒』で終わってしまったら、食べられないままになってしまいます。きちんと口に入れて、味を覚えること。これは危険なものじゃないんだ、という信号を脳に送れるようにすればいいんです」

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