古くから、秋の味覚といえば柿!今でこそ地味〜な存在となっているが、昔は日本を代表する果物だった。「柿が赤くなれば、医者が青くなる」ということわざがあるように、柿の栄養価は高く、万能薬として重宝されていたのだ。

 

「柿の栄養価の3大特徴は、『ビタミンC』、『ビタミンA(βカロチン)』、『ポリフェノール(タンニン)』が豊富なことです」

 

こう語るのは、奈良県農業研究開発センターの“柿博士”こと、浅尾浩史農学博士だ。「ビタミンC=美肌をつくる」ということは、女性なら誰もが知るところ。その1日の必要量が、柿ひとつでほぼ補給できるそうだ。加えて「体の免疫機能を高め、細胞の酸化(老化)を防ぐので、風邪やがん予防にもなります」。

 

ビタミンAはオレンジの約3.5倍含まれていて、外部からの細菌やウイルスの侵入を防ぎ、体に抵抗力をつけるので、こちらも風邪を防ぐことになる。ほか、夜盲症の予防や、視力を維持するのにも効果あり。ポリフェノールはブドウの約5倍、赤ワインと比べると約10倍にもなる。

 

「柿の渋味のもとであるタンニンには解毒作用があり、アルコールを肝臓で分解するときにできる有害物質のアセトアルデヒドを無害にする働きがあるため、二日酔いにも効きます。また消臭と殺菌効果も見逃せない。口臭・体臭・加齢臭の対策グッズやサプリには、柿タンニン成分が配合されたものがとても多いんですよ」(浅尾先生)

 

さらに、カリウムはパイナップルの約2倍。水分代謝や利尿作用、むくみを解消する効果がある。さらにナトリウム(塩分)を排せつする役割もあるので、血圧を下げ高血圧を改善してくれる。

 

骨や関節を丈夫にするのに必要不可欠なマンガンも、バナナの約2倍。血糖を調節するインスリンの合成にも関わっているので、糖尿病にも効果がある。まさに恐るべし、柿パワー!

 

現代の生活に柿を積極的に取り入れるならば、お酒を飲む前の悪酔い防止にひと柿(柿1個)、二日酔い緩和にひと柿。寒くなるこれからの時期は、風邪予防にひと柿。お肌が疲れてるな、と思ったときのひと柿。「医者いらず」を自分の体で実感してみよう。

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