日本人の2人に1人がかかるといわれる「がん」。早期発見→早期治療の重要性が叫ばれ、新たな治療法や治療薬も次々と登場しているが、残念ながらがんの死亡者数は上昇の一途だ。実際、今なお日本人の3人に1人が、この「国民病」で命を落としている。
そんな中、「現在のがん治療は根本的に間違っている」という信念のもと、「目からウロコ」のユニークながん治療を実践している医師がいる。5年前、京都・烏丸御池交差点近くで「からすま和田クリニック」を開院した和田洋巳医師(72)だ。和田医師を訪ねると、開口一番「難しい話ではありません。食事を変えれば、がんは治るのです」と断言した。
和田医師は京都大学大学院医学研究科の呼吸器外科教授などを歴任したがん治療のエキスパート。呼吸器のがんの治療、研究では、日本の医学界で文字どおり「トップ」に立つ1人だ。退官後は京大名誉教授を務める一方、同クリニック院長として食生活の見直し(食事指導)を中心としたがん治療を行ってきた。
実は、和田医師自身、7年前にスキルス性胃がんを患った。だが胃の部分切除手術を受けた後に、みずから考案した食事療法を実践し、見事に病を克服した経験を持つ。
本当に、食生活を改めれば、「がんに克つ」からだになれるのか。じつは、和田医師が指導する食事指導を実践した多くのがん患者に、著しい効果が表れているというのだ。論より証拠。とくに和田医師の記憶に残る2人の女性患者について話してもらった。
【患者例1】50代の乳がん患者
「この方は、’03年に乳がんが見つかり、手術や抗がん剤治療などを受けた後、8年後に肺への転移が見つかった患者さんです。再発後、地元のがんセンターで抗がん剤治療を受けていましたが、副作用に耐えられなくなって、私のところへやってきました。初診時、彼女は呼吸困難から歩くのもやっとの状態。ただちに抗がん剤の投与量を減らして、食事指導を始めました。併せて梅エキスなども飲んでもらったところ、次第に転移巣が縮小し始めたので、3年前に抗がん剤治療を中止。その後は食事療法しかやっていませんが、再発から5年後の今もピンピンしておられます」
【患者例2】70代の重複がん患者
「’09年に乳がん、’10年に子宮体がん、’11年に肺がんと、別々のがんが連続して見つかった重複がんの患者さんです。この間、手術と抗がん剤と放射線などによる治療を受けていましたが、’11年の暮れに肺がんの切除手術を受けた後、『もうかなわんわ!』と言って私のクリニックへやって来ました。この患者さんは甘いものが大好きで、ケーキなどの乳製品をたくさん食べていました。糖尿病の気も見られたので、甘味と乳製品の摂取を完全にやめさせるとともに、食事の改善を指導しました。治療はそれ以外、何もしていません。その後、新たながんにかかったり、がんが再発したりすることもなく、お元気に過ごされていますよ」
和田医師のがん治療に対する基本的な考え方は『がんに負けないこころとからだのつくりかた』などの著書に、食事のレシピは『和田ごはん』などの著書に詳しく書かれている。