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「熱中症は《誰でも、いつでも、どこでも》かかる病気。“私は健康だから大丈夫”という過信は危険です。確かに、蒸し暑い環境で仕事をすることが多い男性の発症率のほうが高くなっていますが、実は女性のほうが熱中症にはなりやすいのです」

 

そう語るのは、熱中症治療に詳しい済生会横浜市東部病院周術期支援センターの谷口英喜センター長。熱中症で病院に運ばれるのは7対3で男性が多いと聞くが、それでも女性のほうがなりやすいという。その理由を谷口先生は次のように解説する。

 

「筋肉は水分をためる役目も果たしています。つまり筋肉量が多いほど、たくさんの水分をためられるということ。男性よりも筋肉量が少ない女性は、脱水症状を起こしやすく、熱中症のリスクも高いのです」

 

女性が熱中症になりやすい理由はほかにもある。

 

「生理周期も関係します。月経前の黄体期は体が水分を蓄えていますが、月経時の出血とともに、水分も喪失してしまいます。そのときに脱水気味になるのです。また女性には、むくみに悩んだり、トイレの回数を減らしたりするための水分を控えている人も少なくありません。しかし、屋内で2時間座っているだけで、コップ1杯分の水分を失います。『家にいるから水分摂取をしなくても大丈夫』と思い込んで熱中症になり、倒れてしまう女性も意外と多いのです」

 

さらに“わき汗”など、汗をかくことがあたかも不潔と思われる風潮も、熱中症のリスクを高めているという。

 

「汗をかくことで人間は体温調整をし、体内の不純物を排出します。だから過剰なまでに制汗剤を使って、必要な汗をかかないようにすることは、危険なことなのです」

 

そのほかにも、熱中症のリスクを高めるリスクは日常生活のなか潜んでいる。そこで、「熱中症リスク」チェックリストを紹介。

 

・肌が荒れている

・髪がパサついている

・ストレスがたまっている

・寝付きが悪く睡眠時間が不規則だ

・春は花粉症で苦しい

・冷え性で困っている

・クヨクヨ考えることがある

・便秘や下痢で悩んでいる

・野菜よりも肉が好き

・やる気が出ない

・納豆が嫌いだ

・お酒をよく飲む

・寝る前にスマホをいじっている

・愚痴や悪口を言って発散することがある

・肩こりや首こりがひどい

 

【チェック結果】10個以上・熱中症リスク高め。5〜9個・熱中症リスクあり。5未満・熱中症リスクは低いが、油断は禁物。

 

熱中症の対策には、水や塩分をこまめに補給することが大事。これは誰もが知るところだろう。しかし、谷口先生はこんな指摘をする。

 

「水やミネラルは、小腸で吸収されます。しかし、小腸の状態が悪いと、いくらミネラルを取っても吸収されず、素通りしてしまうのです。補給した水や塩分を、体内に長くとどまらせるためには、まずは腸を健康的な状態にして、吸収力を高めることが重要です」

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