「暑さがやわらぎ、過ごしやすい秋になっても、倦怠感や不眠、食欲不振などの不調を起こし、“夏バテ”状態をずっと引きずっている……。それは、『秋バテ』なんです」
そう指摘するのは、熊本市にある帯山中央病院の院長・渡邉賀子医学博士。彼女は、日本で初めての「冷え症外来」や「漢方女性抗加齢外来」を開設した経験を持つ。
「15年ほど前、秋に入って涼しく過ごしやすくなったのに、不調を訴える女性が多いことに気づき、秋バテと名付けました。今回、夏から秋の不調に関する意識調査(ウーマンウェルネス研究会調査)を行った結果、なんと2人に1人の女性が、秋バテに悩んでいることがわかりました」
秋バテには主に2つのタイプがある、と渡邉先生は語る。
「梅雨のジメジメしたころから食欲が低下し、暑い夏に不眠や倦怠感などを感じて、胃腸の働きが低下する夏バテに悩む人は多いでしょう。その症状を秋になっても引きずってしまうのが『だらだら不調型』。このタイプは非常に多く、今回の調査で秋バテに悩む女性の約9割を占めました。もう一つのタイプは、冷房のおかげで夏の間は結構元気に過ごしたけれど、秋に入ると燃え尽きたように不調をきたす『燃え尽き型』です」
渡邉先生は、秋バテを起こす原因についてこう語る。
「主な原因は、1.真夏の高温多湿による体力の低下、2.紫外線による免疫力の低下、3.室内外の寒暖差による自律神経の乱れ、そして4.冷たい飲食物の取りすぎによる内臓の冷え−−。これらがどんどん積み重なって、秋になると不調がどっと押し寄せてくるんです。基本的に女性は、快適に感じる温度が男性より3度ほど高いので、冷房が効きすぎていると、体が冷えやすい。また男性より筋肉が約1割少なく、基礎代謝も低いため、秋バテになりやすいといえます」
夏に元気に過ごせた、という人も「燃え尽き型」の秋バテに陥る可能性がある。そこで、「秋バテ危険度チェック」をしてみよう!
1.冷房が効いている部屋が快適に感じる。
2.冷たい飲み物が好き。
3.夏の入浴はシャワーだけで済ませることが多い。
4.夏は素足でいることが多い。
5.胃腸が弱いほうだ。
6.紫外線対策を怠りがちだ。
7.ふだん過ごす部屋(家や職場)の冷房温度は25度以下。
8.夏は冷やした果物をよく食べる。
9.暑さ寒さに弱い。
【秋バテ危険度】3個以上当てはまると秋バテに陥る可能性大!1〜4は自覚していない場合が多いので、当てはまる人は「燃え尽き型」の秋バテに……。
「女性は、暑い外や冷房が効きすぎたオフィスで仕事をして、家に帰っても家事をしてと、寒暖差が激しいところで頑張りすぎています。秋バテは、そんな現代の女性にとって、深刻な“現代病”だと思います。猛暑や冷房からの秋バテを乗り切れる体をつくるため、いまから自律神経を整えていきましょう」