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「私は今年50歳−−。『更年期世代、ど真ん中来た〜!』と感じています。それまで頭で理解していた“だるさ”などの症状があると、『お〜!これか〜』なんて(笑)」

 

そう晴れやかに話すのは、よしかた産婦人科副院長の善方裕美先生。二十数年にわたり更年期世代の女性を診察し続け、その悩みに伴走してきた。『だって更年期なんだもーん』シリーズ(主婦と生活社)の著者・監修者でもある。

 

「仕事は大好きで天職と思えるほどやりがいがあります。でもここ1〜2年、家に帰った途端に急にやる気がなくなったり、全身の脱力感に襲われたりすることがある。『あっ、更年期来た〜』って思いましたよ(笑)。それまでは台所を散らかしたまま寝るのがイヤで、疲れていても片付けていましたが、最近はもう動けません。『もう、朝でいい』と無理はせず、“頑張る”のはやめにしました」

 

女性ホルモン分泌の低下を、身をもって感じる善方先生は、暮らしの中に、そのケアを取り入れている。

 

「体重の増加が気になりだしてからは、朝、ゴミを出すついでにウオーキングをしたりして、体を動かしています。食事も昼はたっぷり食べて、夜の糖質を少し減らしたり。空いた時間を“自分のため”に使って、ストレスを解消することも大切ですね」

 

なかでも一番のストレス解消法は音楽!学生時代にバンドを組み、ドラムを担当していた善方先生は「奥田民生命」で、“ひとりライブ参戦”までしているそう。

 

「ユニコーン(バンド)のころから好きで、人生のつらいときもずっと聴いている民生さんは私の癒し!ライブでは『あっ、民生さん、今、私のことを見た!やった〜!』なんて盛り上がっています。すごくミーハーにエンジョイしていますが、それがいいんじゃないかと。ワクワクドキドキすることで、ハッピーホルモンのセロトニンも分泌されます。だから私にとってライブは“お薬”。K-POPも好きで、娘と一緒にSHINeeの曲の振付を覚えて、踊ったりもします」

 

更年期がテーマの講演でも、ライブを楽しむ写真を見せて、「皆さんも、夢中になれるもの、好きなものを持ってください」と提案している善方先生には、ほかにも元気の秘訣があった。

 

「私、ハグが大好きなんです。『よしよし、ギュー』って。ハグでセロトニンが増えることは科学的にもわかっています。今朝も12歳の娘をハグして、『抱っこさせてくれて、ありがとう』といったら、寝ぼけまなこの娘は『どういたしまして〜』なんて(笑)。クリニックでも健診に来た赤ちゃんをハグできますし、恵まれた環境なんです」

 

更年期は“思春期の裏返し”だという善方先生。

 

「エストロゲン(女性ホルモン)の分泌が活発になることで、精神的に不安定になるのが思春期。その逆で、エストロゲンが減少するのが更年期ですが、同じように精神的に不安定になり、イライラすることもあります。でも更年期は、年齢を重ね、一生の着地点へ向けて、人生のうま味を成熟する時期でもある。だから、更年期を乗り越えた素敵な先輩を目標に、一緒に輝いていきましょう。そのためにも、更年期に起こる症状と対処法を知っておくのは強みになる。頑張りすぎず、力の抜き方を覚えて、楽しいことを探す努力をしてみてください。私はそんな皆さんの“水先案内人”でありたいんです!」

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