「最初はひざに違和感があるものの、治療はせず、そのまま放置。徐々に痛みが強くなり、ついには階段を下りる、正座をするなどの日常生活にも不自由を感じるようになる。これが『変形性ひざ関節症』という病気の症状の典型的な表れかたです」

 

こう語るのは、東京大学医学部附属病院の粕谷大智先生。昨秋、NHKの特番『東洋医学 ホントのチカラ』に出演し、予約が殺到している“東大病院の鍼灸名医”だ。

 

「ひざ関節は、太ももの骨、すねの骨、ひざのお皿という3つの骨で作られています。骨と骨の間には軟骨や半月板があり、ひざの負担を減らすために働いています。私たちは立つ、歩く、座るなど、日常行動の多くの場面でひざを使うので、長年酷使してきたことによって軟骨がすり減り、それがひざを刺激して痛みが出てくるのです」

 

さらに、人はひざに痛みを感じると、その部位を守ろうとして緊張し、部位の周囲の筋肉を固めてしまうと粕谷先生は指摘する。

 

「そうなると、さらにその周りの筋肉も二次的に緊張してしまうことになり、結果、ひざ全体の血行が悪くなってしまうのです。さらに、ひざの痛みが続くと、脳がその刺激を記憶し、痛みに対してより過敏になってしまうことがあるのです」

 

8年ほど前に40歳以上を対象に大規模な調査を行ったところ、変形性ひざ関節症に苦しんでいる人が、全国に2千530万人もいるということが判明したそう。なんと、60歳以上の2人に1人はひざ痛を抱えている、というのが“ひざ痛大国”日本の現状なのだ。

 

「さらに内訳を見てみると、女性の患者数の多さが際立ちます。痛みを訴える男性は約860万人に対し、女性は約1千670万人と約2倍。また厚生労働省の調査でも、40歳以上の女性の約6割がひざ痛に悩んでいるというデータが出ています。今後の高齢化と長寿化を考えると、ひざ痛を抱える女性が激増することはほぼ確実です」

 

では、なぜ女性にひざ痛を訴える人が多いのだろうか。

 

「男性と比べてひざを支える筋肉量が少ないことや、加齢による女性ホルモンの減少が関係していることなどが指摘されています。いずれにせよ女性にとって、ひざ痛は、いつか必ず自分の身にも起きる、人生の重要課題といえそうです」

 

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