「ひざが温まる瞬間のほのぼのとした心地よさと即効性。ひざにお灸をした多くの人たちが、その快感を口にします。お灸の温熱効果で血行がよくなり、冷えが取れて、痛みで固まったひざ関節が緩むのを感じるためです」

 

こう語るのは、東京大学医学部附属病院の粕谷大智先生。昨秋、NHKの特番『東洋医学 ホントのチカラ』に出演し、予約が殺到している“東大病院の鍼灸名医”だ。今回、お灸が「なぜ、ひざ痛を鎮めるのか?」という理由を解説してもらった。

 

「お灸をしたときの温かさは気持ちよさになり、脳に伝わってドーパミンやセロトニンなどの神経伝達物質を放出します。ドーパミンは別名“快感ホルモン”とも呼ばれ、喜びや快感をもたらす働きがあります。また、セロトニンの別名は“幸福ホルモン”。精神状態を安定させ、幸福感をもたらしてくれます。これらの神経伝達物質は、痛みを感じる神経を麻痺させると言われていて、これもひざ痛の軽減にひと役買っています」

 

お灸をすると周辺部に赤みが表われる。これは血流がよくなった証拠で、「フレアー反応」といわれている。

 

「炎症のあるひざ関節には、痛みを引き起こす物質をはじめ、老廃物が多くたまっています。お灸をして血のめぐりがよくなり、筋肉がほぐれると、老廃物が自然と流れ去り、痛みを感じるハードルを押し上げてくれるのです」

 

お灸の熱刺激の効果は「免疫系」にも現れると、粕谷先生は言う。

「免疫系とは、体内の病原体やがん細胞などの異常な細胞を認識して排除することにより、病気から体を守るシステムのこと。皮膚に温熱刺激を与えると、たんぱく質が変性し、『ヒストトキシン』という異種タンパクが生まれます。これが血液に溶け込むと免疫系を活性化させ、白血球の数が増えて、ひざ痛を引き起こす物質を排除してくれるのです」

 

ひざに痛みを感じ始める年齢は40~60代が最多となっている。

 

「仕事や家庭に忙しい年代なので、ひざの違和感を放置している人も多いでしょう。しかし、それでは状態が悪化するばかりです。軽度のうちからひざ痛をやわらげる工夫をして、ひざをよく動かし、柔軟性を保てば、将来も元気に過ごすことができるのです」

 

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