何かとあわただしくストレスに満ちた毎日を送っているあなた、たまにはそんな悩みをすべてきれいに忘れてみませんか。ゆっくりと目を閉じれば、そこには“悟り”の世界が待っている――。
「瞑想とは、私たちの心の奥深いところへ導いてくれるもの。同時に、リラックスできたり、集中力が増したり、自律神経が整ったりと、さまざまな効果が得られることもわかっています。更年期障害の軽減や認知症予防、ダイエットなどに関心のある方は、それらの悩みをきっかけに始めてみてはいかがでしょうか」
そう話すのは、40年以上ヨガ研究を続ける、龍村ヨガ研究所所長の龍村修さん。龍村さんが全国で主催する瞑想講座は、ヨガ講座と並ぶ人気を博しているという。
「瞑想にはさまざま種類があり、“動く瞑想”ともいえるヨガもその1つ。『体が硬いからヨガはちょっと……』という方もご心配なく。座ったまま呼吸を使って行う方法や、言葉を唱えるだけのものもあります。何歳になっても、瞑想を始めるのに決して遅いということはありませんし、特別な準備や道具も必要ありません。まずはいろいろな瞑想を試して、ご自身に合うものを探してみましょう」(龍村さん)
そこで本誌記者が瞑想に挑戦!
真言宗に伝わる阿字観瞑想を体験できると聞いてやって来たのは、東京都墨田区にある正福寺。まずは瞑想に入る前に、副住職の磯山正邦さんから阿字観についての説明を受ける。
「阿字観は、阿字観のご本尊を前に行う瞑想です。“阿”の字は、真言宗ですべての根源と考える大日如来を表したもの。仏さまと一体になってその心を感じることが目的です。細かい作法はありますが、そのつど声をかけますので、すべて覚えようとせず、リラックスして行ってみてください」
瞑想に入る前に本堂でお経を上げ、徐々に神聖な気持ちになってくる。心の準備が整ったところで、目を閉じて合掌。いよいよ瞑想に……。阿字観のご本尊が描かれたパネルには、梵字の“阿”が月輪に収まっている。
本堂の一隅に据えられた阿字観のご本尊を前に足を組んで座ると、それだけで背筋が伸びる気持ちに。磯山さんの声に従い、半眼でご本尊を見つめ、そのイメージを自身の中に思い浮かべる。静かなお経をBGMに深い呼吸を繰り返すうち、心が現実から離れていくのを感じる。途中、雑念が湧いてきたら、落ち着いて“阿”の字のイメージにもう一度集中する。
この時間、およそ15分。仏さまと一体になれたかはわからないけれど、心の中でぐるぐるしていた雑念が飛んでスッキリしたのは間違いない。初めての阿字観だが、お寺という神聖な空間のパワーを得て、うまく集中できたのかも。お寺で瞑想、おすすめです!