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「食事制限をしても全然ヤセないのは“食べ方”のせいです。食べる量を減らすことによって必要な栄養素が不足するために、筋肉量が減ったり、脂肪の燃焼ができず、太りやすい体になってしまうのです」

 

そう指摘するのは、東京慈恵会医科大学附属病院栄養部係長の赤石定典さんだ。

 

現代日本人の「栄養不足」を裏付けるデータがある。戦後、日本人の平均摂取カロリーは1日1,856キロカロリーで、高度経済成長期の1970年代には2,287キロカロリーまで上昇。それ以降は減り続け、’10年には1,849キロカロリーと、戦後を下回るほどに。その一方で、肥満の割合は女性の約2割になり、糖尿病患者も年々増えている。つまり、肥満を招くのは、カロリーの“量”より、“中身のバランス”にあると赤石さんは指摘する。

 

管理栄養士でもある赤石さんは、昨年夏から、自らを実験台に食生活を見直した。食べる量を減らさずに、なんと3カ月で5キロの減量に成功したそうだ。

 

「ダイエットするぞ! と肩に力を入れたわけではなく“食べ方”を変えただけなんです。ヤセ体質になるには、筋肉を作り基礎代謝量を高めるタンパク質、脳のエネルギー源となる糖質、体温の維持に使われる脂質の3大栄養素をしっかり取ることが基本です。さらに代謝を高めるビタミンB群やミネラル、排出を促す食物繊維をバランスよく取ると、腸内環境が整い、肥満の解消につながります」(赤石さん・以下同)

 

ダイエット中だから、脂質は取らないようにしているという人も多いが――。

 

「注意したいのは中性脂肪やコレステロール値を上げる『飽和脂肪酸』。青魚やオリーブ油などに含まれる『不飽和脂肪酸』は、むしろ積極的に取るべき栄養素です」

 

また、赤石さんは『最初に食物繊維が豊富な野菜から食べる』ことを心がけているという。これにより血糖値の急激な上昇を防ぐことができる。キャベツだけ、のように野菜なら何でもいいというわけでもない。厚生労働省が推奨する1日の野菜の摂取量は、キャベツやレタスなど淡色野菜が230グラム、トマト、ほうれん草など緑黄色野菜が120グラムを目安に野菜を選ぼう。

 

さらに気をつけたいのが、ダイエット中の間食で手に取る人も多い「カロリーゼロ食品」。太る心配はないと思われがちだが、これらの食品に含まれる人工甘味料には、甘さを感じる脳内センサーをごまかす作用があるという。いくら食べても大丈夫、という考えは改めたほうがよいそうだ。

 

これらのNG習慣を見直し、食事の改善に取り組む際に効果的なのは、まず「タンパク質のおかず」を意識的に増やすこと。最強のおかずは、糖質をエネルギーに変えるビタミンB1が豊富な豚肉を使った「豚肉のしょうが焼き」だという。不飽和脂肪酸を多く含む魚も取るようにしよう。

 

また、主食のパンを食物繊維が含まれる“大麦ごはん”にすると、お通じがよくなるうえ、腹持ちがいいので食べすぎにブレーキをかけられるというメリットが。

 

「調理法にもコツがあります。食物繊維が豊富な野菜の栄養素は水溶性のものが多いので、水にさらさないでください。また、にんじん、ほうれん草、ブロッコリーなどの緑黄色野菜は油と一緒に取ることで吸収が促されます。ほうれん草はおひたしにしないで、電子レンジでチンしたほうが栄養素を逃さずに取れますよ」

 

赤石さんの解説をまとめた、今日からできる「栄養不足を解消する食事ルール」は次のとおり。

 

□ タンパク質のおかずを増やす(最強のおかずは「豚肉のしょうが焼き」)
□ EPA(不飽和脂肪酸)を意識的に取る(マグロの刺身や魚の缶詰がおすすめ)
□ 主食のパンを“大麦ごはん”にする(白米から徐々に大麦を足す方法が続けやすい)
□ まず、緑黄色野菜から食べ始める(ビタミンB群、カリウムを意識的に取る)

 

“栄養不足デブ”のスパイラルから抜け出して、健康的なヤセ体質を目指していこう!

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