尿路結石、高尿酸血症……。なんとなく「男性しかかからない」と思っていた病気に悩まされる女性が増えているそう。実は、女性ならではの生活習慣が招くことも多い「気をつけるべき病気」を知り、病気を招く生活習慣を正しましょう。
「冷や汗が出るほど激しい痛みが下腹部に走り、頻尿で何度も駅のトイレに駆け込んで用を足すと、便器が血で真っ赤になったので思わず叫んでしまいました——」
悪夢の出来事を振り返るのは、都内に住む50代の女性。病院に駆け込むと「尿路結石」と言われた。
「尿路結石は汗を大量にかく夏場によく起こる病気です。体内の水分が汗で失われるので、尿中のシュウ酸カルシウムの量が増えて結晶化される。つまり“石”ができます。その石が尿路でつまることで激痛に見舞われるのです。そもそも中高年の男性がかかる病気なのですが、最近は女性でもかかる人がいるようです」
そう語るのは、石黒クリニック(岐阜市)の石黒源之院長。女性は女性ホルモンが減少してくる年代になると、体調の異変が起こり、更年期障害のほかにもさまざまな病気にかかりやすくなる。その1つが「尿路結石」。血中のカルシウムの量が不足してくると、背骨や太ももの骨を溶かして補おうとする。その働きにより、一時的に血中のカルシウム量が増えてくるという。
「そこに、ほうれん草やたけのこ、紅茶、チョコレートなどシュウ酸を多く含む食べ物を取りすぎると、さらに血中のシュウ酸カルシウム量が増えてきます。また、更年期ではない若い世代でも、カルシウムなどのサプリメントを大量に取ると、石ができやすくなるという報告もあるので気をつけましょう」(石黒院長・以下同)
尿路結石のほかにも、高尿酸血症や痛風や、脂肪肝といった“おじさんの病気”にかかる女性が増えているという。
「女性ホルモンには尿酸の排出を促す働きがあるため、痛風になる女性は少ないといわれていました。ところが近ごろは、お酒を男性並みに飲む人も増えていますし、お肉など高カロリーなものを取るので、内臓脂肪がたまりやすくなります。一方で炭水化物抜きダイエットなどで高タンパク質の食事を取っている人は、プリン体の摂取が増えて、高尿酸血症や痛風になりやすいのです」
さらに「若いころはいくら食べても太らなかったのが、最近急激に体重が増えた」という人も多いが、これは閉経後、女性ホルモンが減っているにもかかわらず、同じ食生活を続けていることで起こる問題だ。以前は皮下脂肪として蓄積されていた余ったエネルギーが、内臓脂肪として蓄積されるように。その内臓脂肪は肝臓にも蓄積して、脂肪肝を引き起こす。
「食事で取った脂質は小腸で吸収され、肝臓で脂肪酸に、糖質はブドウ糖に分解されてから肝臓で中性脂肪に変化しますが、摂取エネルギーが消費エネルギーを上回ると、使いきれなかった脂肪酸やブドウ糖が中性脂肪として肝臓に蓄積されてしまうのです。放っておくと、肝硬変や肝臓がんに進行する可能性があるので危険です」
そんな「おじさんの病気」にならないための心得8カ条は次のとおり。
【1】「BMI(肥満指数)」は25以下をキープする
【2】「ほうれん草」を食べすぎない
【3】アルコールは「禁酒」、もしくは「節酒」を心がける
【4】1日30分以上「早歩き」をする
【5】「サプリ」を取りすぎない
【6】「カフェイン・糖分抜き」の水分を取る
【7】「炭水化物抜きダイエット」は控える
【8】ストレスをためないで「十分な睡眠」を取る
「おじさんの病気」の恐怖を遠ざけるためにまず必要なのは、ダイエットだ。「BMI(肥満指数)」は25以下をキープすること。
「尿路結石は、食事の欧米化や運動不足といった生活習慣の乱れが原因の1つです。食べすぎ飲みすぎを控えるなど、食生活を見直して、シュウ酸を多く含む、ほうれん草は食べすぎないようにしましょう。また、1日30分『早歩き』するなど運動を習慣づけてメタボ気味の人はダイエットするように。夏場は外出先でトイレが近くならないように、水分を控える女性が多いのですが、アイスコーヒーやアイスティーではなく、『カフェイン・糖分抜き』の水分を取ること。熱中症対策にもなります」
また、食事の量を減らす代わりにサプリメントを取る人も多いが、それはNG。「サプリメント」も取りすぎないようにしよう。
痛風の原因、プリン体を増やさない食事を取るためにも、タンパク質量が増える「炭水化物抜きダイエット」は控えよう。
「ストレスがかかると食生活が不規則になり、偏食しがちになります。睡眠時間が1日6時間以下は、脂肪肝を促進する可能性があるといったデータもあります。寝苦しい季節ですが、冷房をうまく使い、ストレスをためないで『十分な睡眠』を取りましょう」
毎日少しずつ生活習慣の改善に取り組み、健康な体に戻そう。