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「夜、お風呂に入った後、ドライヤーで髪を乾かしていると、頭に爪でひっかかれたようなビリビリした痛みが走ったんです。何かなと思ったんですが、すぐに治るだろうとも思って、その日は何もせず寝ました。でも、翌朝、目が覚めると激痛に変わっていて。すぐに病院で診察してもらったんですが、病名はわからず、処方されたのは痛み止めと軟膏だけでした。しかし、その後も38度の発熱で頭や体は燃えるように熱くなり、冷やしても頭皮の痛みは増すばかり。症状はどんどん悪化していきました。2件目の病院でもわからず、3件目でようやく『帯状疱疹ですね』との診断が。最初に痛みを感じてから丸3日も過ぎてのことでした」

 

自身の体験を話すのは、環境ジャーナリストの村田佳壽子さん。「帯状疱疹」という病名こそ、聞いたことがある人はいるかもしれないが、具体的にどんな病気なのか、知らない人は多いのではないだろうか。

 

村田さんは頭皮のものすごい痛みで食事が喉を通らず、一晩で2キロも体重が落ちたという。

 

「処方された薬を飲んだら、ものの10分ほどで痛みはスーッと引いていきました。でも、その時期から、今度は患部がカサカサになって広範囲のかさぶたみたいになったんです」

 

患部が“おでき”のようになるには時間がかかることもあり、「すぐに診断がされにくいことも多々ある」という帯状疱疹。さらに恐ろしいことに――。

 

「男性より女性のほうがかかりやすく、とくに50代から急激に患者数が増えるといわれています。そしてここ数年、発症率が上がっているとも。痛みは『救急車を呼ぶほど』といわれるとおりのもので、後遺症が長引くと『うつ』になる人も多いというんです……」

 

かかったらなんとも厄介そうなこの病気、村田さんを診断した、中野皮膚科クリニックの山根理恵先生に解説してもらった。

 

「幼少期に水ぼうそうにかかり、体内に侵入した『水痘帯状疱疹ウイルス』は、治った後も体の中に一生、潜伏し続けます。免疫力があるうちは問題ないのですが、加齢に加え、ストレスや疲れで免疫力が低下すると、ウイルスが活動を再開して増殖。これが引き金となり帯状疱疹を発症します」

 

つまり、子どもが最初にかかるのが「水ぼうそう」で、大人になってからなど、その後に発症するのが「帯状疱疹」なのだそう。

 

そして、50代以降の女性は、急に帯状疱疹にかかりやすくなるという。

 

40代まで、1,000人あたりの発生率は男性2.49人、女性3.04人と僅差だが、50代では男性4.02人、女性6.69人と、男女間では1.6倍、世代間では2倍以上の差が開くのだ。

 

しかし、なぜ50代以降、しかも女性に多く発症するのだろうか?

 

「帯状疱疹にかかる患者さんのうち、約60%が女性です。更年期障害や、仕事、人間関係、介護などからくるストレスによって免疫力が低下することが一因と考えられます」

 

前出の村田さんは、いまだ続く暑さを踏まえてこう助言してくれた。

 

「不安定な天候が続くこのごろ、9月に入って、一気に気温が下がったかと思うと、10月になって再び上昇するという傾向も近年ではあります。冷房病や不眠に加え、『寒暖差ストレス』にも気をつけ、帯状疱疹を予防してください」

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