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「年齢を重ねるにつれて体に現れるさまざまな現象を、『老化だからしょうがない』と嘆く人はとても多い。でもじつはそれ、老化ではなく、ただの“変化”なのです」

 

こう話すのは、眼科専門医の平松類先生。これまで臨床の現場で多くの高齢者に接するなかで、「老化」という言葉に違和感を覚えてきたという。

 

「人は高齢になるほど、経験や知識が蓄積されて賢くなるし、できることも増えているのです。しかし、体の変化にばかり意識がいき、戸惑った揚げ句、“老化”と片付けてしまいがち。年齢を重ねても、体をこれまでとは違った使い方をすれば、今ある機能を十分に発揮できますし、100歳を超えても問題なく生活できます。『年をとる=ダメになる』のではないということを、知ってほしいですね」

 

体の変化に合わせて体を正しく使えば、老化だとあきらめていたアレコレが解決可能になるそう。平松先生が解説してくれた。

 

■スマホを見続けたあと目のピントが合わなくなってきた! → 数秒でピントが合ってくるなら気にする必要はありません!

 

「目のピント調節機能は20代前半をピークに衰えてきているため、これは老化ではなく“長年の変化”。少し時間がたってピントが合うようなら、心配いりません。感覚的に長く感じても、数秒レベルです。それでも気になる人は、目の筋肉をストレッチしましょう。遠くのものと近くのものを交互に見る習慣をつけると、ピントが合いやすくなってきます」(平松先生・以下同)

 

■目は乾くのに勝手に涙が出てくる! → 目のまわりが冷えているのかもしれません!

 

「いわゆる“目の冷え性”かもしれません。通常、涙には『油層』という油分が含まれているのですが、目のまわりが冷えるとこの油層が固まって成分として機能しないため、目の表面が乾きやすくなり、自然と涙が出てしまうのです。ケア方法としては、温めた手やホットタオルなどで目のまわりを覆うこと。続けていくと、目のたるみ予防も期待できますよ」

 

■なんのためにここに来たのかわからなくなる → 2つ以上のことを同時にしようとしているからでは?

 

「何かをしようと思ってその場所まで来たのに、それがなんだったかわからなくなる……よくありますよね。でもそれ、移動中に別のことを考えていた、つまり2つのことを同時にしようとしていたからです。そもそも脳は“並行処理”がうまくできるようにはつくられていないため、物事はひとつずつこなしましょう。それができていれば問題ありません」

 

■捜し物が見つからない! と思ったら、すぐそばにあった…… → 「有効視野」はトレーニングで広げられます!

 

「判断力の衰えや認知症が心配になるところですが、“有効視野”が狭くなっている可能性があります。これは物理的な視野ではなく、“見えていて、さらに、それが何かを判断できる”視野のこと。『視野拡大トレーニング』を行うと、その範囲が広がります」

 

〈視野拡大トレーニング〉

手を前方に伸ばして親指を立て、親指の上下左右に何が見えるか判別する。このとき、目や顔は動かさない。これを1日1回、3分程度行う。

 

■説明書などを無意識のうちに声に出して読んでしまう! → その内容がつまらないからです!

 

「小説や漫画は、意識しない限りは声を出して読みませんよね? 説明書など、単語の羅列や感情を含まないものは脳が内容を捉えにくいため、音読によって少し感情を乗せ、理解しようとしているのです。むしろ、音読をやめようとすると、脳の成長を止めてしまうことに。また、声帯の老化予防、脳の活性化にもなるので、声を出すメリットは多いのです」

 

今日から意識を変えて生活してみよう。

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