“難聴予備群”は2千万人とも…3万人治療した医師明かす実態

じつは中高年の多くがトラブルを抱えていながらも、その自覚を比較的持ちづらいといわれているのが「耳」。人生100年時代を健やかに生きるためには「健康耳」が欠かせません!

 

「近視や遠視などで、ものが見えづらくなるのと同様に、なんらかの原因で聞こえづらくなるのが『難聴』。特別な病気などではなく、誰でもなる可能性があるのです」

 

そう語るのは、これまで3万人以上の治療をおこなってきた日本リバースの今野清志院長。そもそも難聴とは、「音がほとんど聞こえない」のではなく、「聞こえづらい」状態を指す。

 

いっぽうで、自分の視力(見え方)はある程度具体的に答えられる人が多いのに対し、自分の耳がどれくらい聞こえているかを把握している人がほとんどいない、とも今野院長は指摘する。

 

「一般的に、健康診断での聴力検査は大きな問題がないかをざっくり確認するだけのものです。加えて、人が相手の話を聞くときは、相手の表情や口の動き、前後の文脈や雰囲気から推測もしています。そのため少しぐらい聞こえが悪くても自覚できず、気づかぬうちにどんどん耳が悪くなる人が増えているのです」(今野院長・以下同)

 

次のチェックリストは、まさに、そうした“無自覚な兆し”を挙げたものだ。2つ以上、当てはまる人は「難聴」かもしれない。

 

□お笑いタレントが、なんと言っているかわからない。
□よく知らない人の話題になると聞き取りにくい。
□友達との「ひそひそ話」がじつは聞き取れていなし。
□家族から「テレビの音が大きい」と指摘される。
□会話している相手に「もっと大きな声で話してほしい」と感じる。
□自分の名前を呼ばれているのに気づかないことがある。
□早口な人の話は、声が大きくても聞き取りづらい。
□周囲が騒がしいと、話の内容が理解しづらい。

 

「たとえばバラエティ番組でタレントや芸人が何を言ったかわからないと感じることがあっても、『アナウンサーと違い、発声の滑舌の練習を積んでいない人の話が聞き取れないのは仕方ない』『最近のはやり言葉は、わからなくても当然』と思うかもしれません。しかし、口の動きや話の流れから推測しても聞き取れない、というのは、やはり聴力が衰えている兆候でしょう」

 

とはいえ「耳が遠い」というと一気に老け込んだようで、あまり認めたくないというのが人情というものだ。厚生労働省の調査によれば、平成23年時点で聴覚障害者の数は65歳未満で6万6,800人、65歳以上で17万5,400人だという。65歳以上の高齢者に絞っても、人口自体が3,558万人(平成30年)であるのに対し、確かに「少ない」という印象だ。

 

しかし、この数字は現実の「難聴患者数」とは異なっているというのだ!

 

「これは日本特有の、かなり厳しい基準に照らし合わせた結果です。日本で聴覚障害として認定されるのは、『両耳が70dB以上の音でないと聞き取れない』『片耳が50dB以上、もう片方の耳が90dB以上でないと聞こえない』などの基準があります。しかし、欧米などでは40dBを基準にしているところが多く、WHO(世界保健機関)でも、41dBを超えたら補聴器の装用を推奨しているのです。この基準に照らせば日本の難聴の人の数は2,000万人以上ともいわれており、その数は高脂血症や糖尿病(予備群含む)の患者数とほぼ同等。それほど『身近な症状』にもかかわらず、日本人の難聴は放置されているのが現状なのです」

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