東芝が開発した「1滴の血液」からがんを発見、精度は「99%」

痛い、費用が高い、そもそも見つけにくい……。多くの問題を抱えていた従来のがん検査。それを次々とクリアするような技術が開発され、これからは「早期発見・早期治療」が限りなく可能な時代へ!――。

 

「私たちが開発した技術を使えば、血液1滴から、99%の精度で網羅的にがんの有無を検出できます。ステージ0のような超早期のがんでも識別可能です」

 

こう語るのは、東芝・研究開発本部で研究主幹を務める橋本幸二さん。血液中に含まれるマイクロRNAという核酸分子から、がんにかかっているかどうかを判別する機器を開発した。

 

人間には配列の異なるマイクロRNAが約2,500種類ある。細胞ががん化すると細胞内のバランスが崩れ、ある特定の配列を持ったマイクロRNAが血液中にたくさん分泌されるという。これを検知するのが、東芝が今回開発した機器だ。

 

’14年に開発プロジェクトがスタート。99%の確率でがんの有無を識別できるまでに約6年を要し、今年から、東京医科大学などと共同で、実用化に向け本格的な実証実験が始まる。

 

「検査方法は、まず採取した血液の中から白血球、赤血球といった、マイクロRNAの測定を妨げる物質を除くため、血清の状態にします。この血清の中からマイクロRNAだけの成分をさらに抽出するという工程を経ます。次に、マイクロRNA自体は非常に微量で小さい分子なので、これを検出しやすいように人工配列を付加するという工程を行います。分子のサイズを少し大きくした後、マイクロRNAチップと小型の検査装置を使って測定するという流れです」

 

特筆すべきはその速さで、血清作製から結果が出るまでわずか2時間。13種類のがん(乳、胃、大腸、肺、食道、肝臓、ぼうこう、前立腺、膵臓、胆道、卵巣、脳腫瘍、肉腫)を網羅的に検出できるという。

 

「今の時点で、どの臓器のがんを患っているかを特定するまではできませんが、そこを目指してさらなる研究、技術開発を進めていきます」

 

’81年以降、がんはずっと日本人の死亡原因の1位として挙げられている。

 

「肺がんの場合、ステージ0という超早期発見ができれば、5年生存率は97%。がんは、早く見つけることができれば治る病気になってきているのです」(橋本さん)

 

「女性自身」2020年1月28日号 掲載

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