医師が警告する「女性襲う病気」、予防のカギは「女性ホルモン」

原因もわからずに、ある日突然襲い掛かる病気には、中高年の女性に患者が多く見られるものがある。そんな疾患を、少しでも遠ざけるために日ごろからできることとはーー。

 

「体のどこかがいつも激しく痛む」「肘のあたりが急に腫れた」など、ある日突然襲い掛かる体の不調に悩む40〜50代の女性は多い。

 

「特にけがをしたというわけではないのに、体のどこかに不調が出てくることには、女性ホルモン『エストロゲン』の低下が関係していると考えられます。女性は45歳を過ぎたころから女性ホルモンの分泌が減少し始め閉経に向かい、のぼせ・ほてりなどのホットフラッシュ、めまいや動悸といった症状が出ることがあります。このほか、頭痛、肩こり、腰や背中、関節の痛みが生じることも。直接の原因は不明とされる疾患には、更年期をむかえる40〜50代の女性に顕著に見られるものがあるのです」

 

そう指摘するのは、婦人科専門医で浜松町ハマサイトクリニック婦人科の吉形玲美先生。朝早く起きて朝食やお弁当を作って、仕事に出かけたり、家事をしたり、日本の女性の1日は忙しく、睡眠時間は年々短くなる傾向にある。体の変化と向き合う余裕がなく、無理を重ねてしまい、ある日体調を崩してしまう人もいる。

 

ガラスや針が突き刺さるような痛みが走るという「線維筋痛症」は、昨年末にフリーアナウンサーの八木亜希子さん(54)が発症したことでも話題になった。原因は不明。体の痛みに、倦怠感や疲労感が伴う。現在約200万人の患者がいて、中高年女性の割合が大きいという。

 

「線維筋痛症でリウマチ科に通院している50代の女性の患者さんが、リウマチ科の先生からの紹介で私の外来を受診されました。女性ホルモンの検査をしたところ数値が低かったので、ホルモン補充療法を行いました。すると症状に改善が見られたのです。明確な因果関係は特定できていませんが、女性ホルモンの減少による自律神経の乱れやストレス、心の不調などが一気に体に現れたのではないでしょうか」(吉形先生・以下同)

 

骨がもろくなってしまう「骨粗しょう症」も、患者の8割が女性。吉形先生はこれにも女性ホルモンの減少が強く関係していると話す。

 

「女性ホルモンは骨の形成を助け、破壊を防ぐという重要な役割を担っています。40代以降、女性ホルモンの分泌が低下することで、骨を作るより壊すほうに傾くため骨はもろくなります。そして気が付かない間に骨がスカスカになり、骨折しやすい状態=骨粗しょう症になってしまうのです」

 

突然指に痛みや変形が現れる「変形性関節症」、肘やひざの痛みが出る「関節リウマチ」も女性に多く見られる原因不明の病気だ。

 

「原因不明の痛みがあると、まずは整形外科やリウマチ科を受診することが多いと思います。痛み止めなどの薬を処方されても症状が改善せず、複数の科でたらいまわしにあってつらい思いをしている患者さんもたくさん見ています。原因不明の体の異変を感じたら、女性ホルモンの減少が関連しているかもしれないので、まず婦人科で受診してから、リウマチ科や整形外科の先生と連携して治療をするのが、症状を改善する近道です」

 

婦人科系疾患ではないが、年間1,000人以上亡くなる人がいる「肺MAC症」は、感染経路が不明で、やはり女性の患者が多い。

 

これら原因不明の厄介な病気を遠ざけるために、特に40代以降の女性はふだんから自分の体と向き合うことを習慣づけるべき、と吉形先生は話す。

 

「ホルモンバランスを整えるための活動“ホル活”をお勧めします。まず食生活を見直して、十分な睡眠時間を取り、適度に運動をする。この3つが基本です。食事は納豆など大豆イソフラボンを含む発酵食品のほか、アボカド、サーモンやゆで卵、アーモンドなど、食物繊維、ビタミンEといった栄養素が豊富な食材を選んで食べるとよいでしょう。また、日常生活で意識的に歩く時間を増やすことも心掛けてください」

 

ふだんから不調を感じたら無理をせずに、きちんと休むようにして、病気に負けない体を作っていこう。

 

「女性自身」2020年3月17日号 掲載

関連カテゴリー: