骨の健康を守る3本柱は「食生活・骨検診・適度な運動」

「骨は皮膚と同じように新陳代謝を繰り返し、約5カ月で新しい骨に生まれ変わります。そして、約5年たつと全身の骨が入れ替わるのです。しかし女性の場合、閉経によって女性ホルモンのバランスが崩れると骨の新陳代謝のリズムが狂い始め、これが骨粗しょう症の引き金となります」

 

そう話すのは、骨粗しょう症から更年期障害まで、女性医療全般を専門とする太田博明先生。骨粗しょう症は女性がなりやすい病気の一つで、患者は閉経後の女性が多いという。

 

実際に骨粗しょう症と診断されるのは、骨密度の検査で数値が70%を下回った場合だが、これといった自覚症状があるわけではない。そのため、骨折を機に検査を受け、そこで初めて発覚するケースが多い。

 

「やっかいなのは、骨折をしても気づかない人がいることです。60代の患者さんで目立つのは、背中や腰の骨折ですが、この部位は痛みを感じにくく、違和感があっても整骨院や鍼灸院などで済ませてしまう人が多いんです」(太田先生・以下同)

 

背骨は、椎骨という小さな骨が積み重なって首から腰までをつないでいる。骨粗しょう症になると、その椎骨の内部(椎体)がスカスカになり、自重に耐え切れず圧迫骨折してしまうというのだ。

 

「椎骨は時間をかけてつぶれていくのでほとんど痛みを感じず、およそ3分の2の人は骨折したことに気づきません。そのまま放置していると2カ所目、3カ所目と骨折の連鎖(ドミノ骨折)が続き、背中がどんどん丸くなっていきます。最近身長が2センチ以上低くなったという人の半数は、椎骨の骨折をしている可能性があります」

 

骨折をして初めて気づく人がいることからわかるように、骨粗しょう症は目に見えないところで進行していく病気。

 

「食事や運動、生活習慣の見直しはもちろん大事ですが、『自分は対策できているから大丈夫』と過信する人ほど、気づかぬうちに発症していることがあります」

 

骨折で受診し骨粗しょう症と診断されても“時すでに遅し”で、その後に介護生活を余儀なくされるケースは数えきれない。介護が必要となってしまった女性のうちの3割近くが、骨折・転倒と関節の変形などによる関節疾患が原因との調査結果も出ている。

 

「それを防ぐために重要なのが、定期的な骨粗しょう症検診の受診です。検診では、専用の機械で骨密度を測定します。もっとも一般的なのが、超音波をかかとに当てて計測する測定法。ですが、この方法は正確性に欠けるため、腰椎と大腿骨頸部にX線を当てて計測する測定法のほうがより正確でおすすめです。市区町村で行っているところもあるので、まずは保健所に問い合わせてみましょう」

 

検診の結果では、骨密度がパーセンテージで表示される。これは、20〜44歳の健康な成人の骨密度の平均値を100%としたときに、自身の骨密度がどの程度に相当するかを示すもの。70%以下の場合、骨粗しょう症と診断される。

 

「骨密度の数値は、成人してからの生活習慣ももちろん影響してきますが、成長期である思春期にどれだけ骨量を増やせたかが重要なカギとなります。私はこれを“骨貯金”と呼んでいます」

 

骨量は生後、成長スピードと比例して、18歳前後まで急速に増えていく。そこでピークを迎えたあとは少しずつ減っていき、閉経後に一気に減少する。

 

「つまり、18歳までに骨量を増やして十分に“骨貯金”できている人は、閉経後に骨量が減っても、もともとの“貯金額”が多いので、骨粗しょう症のリスクは低くなります。小・中学生時代に運動不足だったり、過度なダイエットをしていた人は骨量が少なく、“骨貯金”の残高が少なくなっている可能性があります」

 

自分の“残高”を確認するためにも、40代のうちから検診を受け始めよう。

 

「65歳の時点で骨密度の数値が80%以上あれば安心です。私はこれを『65-80(老後もハッピー)運動』と名づけ、骨粗しょう症予防と検診の重要性を広めています。80%という数値は、老後も若々しく、健康に生きていくための指標でもあります」

 

最近の研究で、骨の健康は全身の健康にもつながることがわかってきた。骨が運動などで刺激を受けると、骨の細胞からさまざまな物質が分泌され、全身の臓器の細胞を活性化させるのだ。

 

さらに、骨は“見た目”にも大きく影響する。’11年にアメリカの医学専門誌に掲載された論文では、骨粗しょう症により眼窩が拡大し、下顎骨の骨量が減ると、顔面の皮膚がたるんでほうれい線などが際立つと報告されている。

 

「骨粗しょう症の予防は、骨折を防ぐだけでなく、全身の健康や美しさにもつながります。骨の健康は、まさに“若さと美”の源ともいえるでしょう」

 

「女性自身」2020年4月21日号 掲載

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