江原啓之さん、コロナ禍を語る「これは人間の醜さ暴く“あぶり絵”」
(撮影:谷口 京)

「『国破れて山河あり』という言葉がありますが、このコロナ禍にあって、長年汚染されていたベネチア運河の水が今、きれいに澄み渡っているそうです。人々が自粛生活を送ったことでCO2が削減され、地球温暖化に歯止めがかかるなど、図らずも自然が美しさを取り戻しているともいわれます。今回のパンデミックは、人間の予想を超えた影響をもたらしているということでしょう」

 

昨年から「令和2年は“破綻と崩壊の年”になる」と本誌で注意喚起をしていた江原啓之さん。

 

「私も自粛生活のおかげで早寝早起きになり、粗食を心がけ、健康的な生活を送れています。私は常々『正負の法則』を説いていますが、災難の中にも学びや救いがある。コロナ禍がやや落ち着きを見せた今、別の側面からこの事態を見つめ直すことも大切なのです」

 

そう語り始めた江原さんは、新型コロナウイルス蔓延のさなかに起きたある出来事を振り返る。感染拡大初期に人々が生活必需品の買い占めに奔走し、店頭からマスクなどが次々と姿を消した混乱の事態だ。

 

「マスクやトイレットペーパーの争奪戦が起こるのは、人々の想像力の欠如ゆえです。なぜ、それでなくてはならないのか。身近にある手ぬぐいや新聞紙などでいくらでも代用が利くというのに、そこに思いは至らない。人生も『この道でなければならない』という思い込みが道を阻みます。山の頂きに行く道は、決して一本道ではないのです」

 

そして江原さんは、このコロナ禍によって「今まで隠されてきた人間の心の醜さや世の中の問題が、あぶり絵のように浮き出てきている」と指摘する。

 

たとえば、人々が買い占めに走る姿や、緊急事態宣言が出た後も観光地に人が押し寄せる光景は「自分さえよければ」という心のあぶり出しであるということ。

 

「多くの人が待望したオリンピックイヤーに蔓延したこの危険なウイルスは、仕事、学業、娯楽、スポーツから日常生活まであらゆるものを停滞させました。そして、残念ながらこれは長い闘いになるでしょう。収束したとしても、その後は経済の低迷、治安の悪化などが懸念され、私たちは生き方を根本から見直す必要に迫られるでしょう」

 

では、私たちは未来をどう生きていくべきなのか。江原さんはこう続ける。

 

「まず、この事態は“有事”であり、戦争のような出来事だという認識を持つこと。そのなかで医療従事者の方は命を顧みず役目を果たしてくれているのですから、何より彼らに敬意と感謝の念を示しましょう。『医療従事者のお子さんは登園しないでください』などと拒否した保育園がありましたが、これは出征した人の家族を差別するようなもので言語道断です」

 

そのうえで、この試練を新たな学びや気づきを得るための機会と心得、自分と向き合うことが大切だと力をこめる。

 

「己れの心を見つめ、顧み、今まで築いたものを一度、更地に戻すような心づもりで日々を過ごしてみましょう。そうして再び自らの暮らしや考え方を、骨組みから立て直す。そんなふうに腹をくくるべきときを迎えているのですが、身構えすぎることはありません。更地に何を建てるのかはその人次第。その作業はある意味、楽しいものだともいえるのですから。ただしその際、疫病のみならず、引き続き地震や自然災害への備えは怠らないで。それだけは覚えておいてください」

 

「女性自身」2020年6月23・30日合併号 掲載

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